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ある少女の不満



昼休み、私は人が誰も来ない体育館裏に来ていた。
こんな場所に来ている理由は呼び出されたから。


「はじ先輩!」
「あ、紀伊くん。早かったね。」


本田紀伊、彼に呼び出されたから。
紀伊くんは私の彼氏。彼は天瀬アリスさんと名張マリアと同じクラス。


「どうしたの?」


いつもは中庭でお弁当食べてるでしょ、と問うと紀伊くんは俯いた。
え?何?どーした?、想像してなかったの反応に少し戸惑いながら紀伊くんの顔を覗き込む。


「先輩!」
「な、何?」
「俺…どーしちゃったんだろ…。」
「何が?」
「俺、なんか変になっちゃったみたいで…!」


ガバリと顔を上げてそう話し出した紀伊くんの話を簡単にすると、こういう話だった。

紀伊くんは名張マリアの隣の席で今までただのクラスメートとしての感情しか持ってなかった。
なのに、今日話したりするとだんだん好きになっていくような感覚に陥ったらしい。
そして彼女である私に、名張マリアが好きになったから別れようと告げるつもりでここに呼んだらしい。


「でも!」
「でも?」
「さっき先輩を見たら、何で名張さんを好きになったのか分からないんだ。」
「うん。」
「だって俺、先輩が好きなんだ!だから、別れるなんて有り得ないし、そんなこと考えたなんて自分でも信じられない!」


そう言ってぎゅっと私を抱きしめた紀伊くんの背中に腕をまわして抱きしめる。

面白いなー、名張マリアさん。
人を惹きつける何かを持っているのかな?"一時的"に惹きつける何かを。
でもね、でもね、私の彼氏なんだよ、紀伊くんは。



気に食わないなー、君。


 


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