ある少女の不安
「大丈夫かよぃ?」
「大丈夫です。」
「痛いとこはないかのぅ?」
「はい。ありがとうございます。」
心配してくれるブン太先輩と雅治先輩。心配してくれることはとても嬉しいけど、驚きが勝っていて怖いとも何とも思わなかったから大丈夫と返事するしかなかった。
野次馬が集まってきたな、と思いながらそっちを見るとはじ先輩がいた。
そのとき、視界の端で名張さんがニヤリと笑った。
それからは動きがスローに見えた。
名張さんは足元に落ちていたナイフを拾ってしっかりと握り、はじ先輩の所まで自慢の足の速さで辿り着き振りかぶった。
そこで本田が「はじ先輩!」と叫ぶ声が聞こえた。教師達の慌てる声と生徒達の悲鳴も。
名張さんが先輩の脳天目掛けて真っ直ぐ振り下ろした手を先輩はギリギリかわした。先輩の前髪がハラリと落ちたのが見えた。
それからは普通のスピードに戻った。
教師陣が名張さんを押さえつけるのを横目に先輩に抱きついた。
ぎゅっとしがみつくと先輩は頭を撫でてくれた。
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