007
私は夢の中にいた。それは分かっている。
だって現実では有り得ないからだ。
妙な浮遊感。
空を飛ぶことは小さい頃からの夢だったが、これは飛んではいない。浮いている。
そして、思い出す。
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「はじめまして!」
「しぇ…せりゅ…せっちゃん」
「ひーろおおおおおお、だ!」
「けんかはだめだよ!」
「だいすき!」
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そして、ベッドの中にいた。
「思い出したかも。」
そう呟いて、ベッドから起き上がる。
時計を見て時間が危ないと分かるとさっさと身支度を済ませる。初めて袖を通す制服。
今日は入学式だ。
入学式への不安と期待と、そして夢のこと。
いろいろ混ざって頭が沸騰しそうだった。
壁に頭でもぶつけようかな。
そんな危ないことを考えた矢先、訪問者が訪れた。
「早苗ー。学校行くよー。」
「はーい。」
訪問者ではなく、保護者のほうが近い香苗の後を追って学校へ向かう。
「思い出したよー!」
「何を?」
「せっちゃんとしーくんのこと。」
「そっか。見つけられるといいね。」
「うん。」
思い出した限りではせっちゃんはヘルメットを被ってた。
首がどうなってるのか気になるなー、と呟くと変な顔をされた。
それからくだらないことを話しながら歩き、学校へついた。
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