002
卒業式はつまらなかった。
親友の香苗とは同じ高校へ進むし、好きな人もいない。
特に学校に未練なんてなくて、むしろ卒業式の必要性なんてあるのか、と疑問に思ったりする。
卒業式が終わって、感動と悲しみでいっぱいの同級生に埋もれながらため息をついた。
隣の香苗は同級生を見ながら微笑んでる。
「いやー…、みんな泣いちゃって可愛い!」
「香苗、おじさんみたいだよ。」
うふふ、と笑う香苗と一緒に泣いている友達のとこに行った。
「やだー、卒業したくない!」
「えー。」
「何?早苗は学校を離れたいの?」
「まあ…ぶっちゃけ担任が嫌いなんだよね。」
髪薄いし気持ち悪いし、と続けて言う。
沈黙
「何?このたしかにねー、みたいな雰囲気。」
「だってその通りだし。」
「かわいそう!」
へらへら笑いながら、こんな風に話せなくなると素直に寂しいと思った。
「それじゃ、またねー。」
友人達に手を振り、香苗と一緒に校門から出る。
明日には池袋に引っ越すから、2人は帰路についた。
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