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「早苗と香苗さー、高校は池袋だっけ?」

「そうだよー。」

「あー、せっちゃんって人を捜すとか言ってなかったっけ?」


早苗の妄想の人じゃないの、なんて言ってくる友達の言葉を無視して学校へ足を進める。
私達は今日で中学生活を終える、つまり卒業式。


ちなみにせっちゃんてのは私の思い出の人。
小さいときに池袋に住んでいた私と1番仲が良かった人だった。


私は5歳まで池袋に住んでいて、それから神奈川へ引越してきて今日まで過ごしてきた。
そしてこの春、私と私の親友の香苗は池袋の高校、来良学園に入学を控えている。


「せっちゃんはいい人だったよー。」

「どんな話したのー?」

「…せっちゃんの声を聞いた覚えがない。」

「………やっぱ妄想なんじゃない?」


私が覚えているせっちゃんの特徴は至極在り来たり。つまり、どこにでもいそうなのだ。

まず、優しい。次に、女。最後に、黒い。何が黒いのかは覚えてない。


「なんかさー、もっとなんか…分かりやすい特徴ってないの?」

「キツネ?」

「人間じゃないし。」

「まあ、5歳のときの記憶だから。」

「じゃあ、事実とは限らなくない?」

「事実だから。」


ふーん、と信じてないような友達の反応に少し拗ねながら早苗は門をくぐった。

 

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