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ヒーロー登場!
 

あの屋上の出来事から、噂が流れるようになった。



――丸井ブン太と山田蒼乃は付き合っている。



まあ丸井が私の手を引いて教室から出て行ったから、噂になるのに頷ける。


「有り得ない!」

「なんでこんな子が彼女なわけ?」


さてそんな噂をされてる当事者の私は、放課後の貴重な時間に噂を信じた女子に呼び出されている。


「丸井くんが優しいから付き合ってあげてるんじゃない?」

「泣き落としとかしたとか?」

「てか、あんたが彼女とか可哀想なんだけど。」


何も喋らないのをいいことに暴言を浴びせてくる。
別に付き合ってもないのに泣きそうになってしまう。


「ねえ、なんか言ったらどうなの?」

「だよねー。」


基本目立つこともなかったし、目立ちたいわけでもないからこんな風に見られることもない。

怖い。

泣きそうになる。付き合ってないのに…。ただの噂なのに…。


「何してんだよぃ!」

「ま、丸井くん!?」


そんなときに丸井が登場。
何故か息が切れていて、すごく怒っている。

丸井の登場で安心して気が抜けたのか、溜まっていた涙が頬に滑り落ちる。
それが分かって下を向く。


「大丈夫かよぃ?」


そんな私の顔を覗き込んでくる丸井。
その隙に私を囲んでいた女子が逃げていった。


「ブンちゃん、余裕なさすぎじゃき。」

「うっさい!」


仁王がいきなり現れて丸井をからかう。


「ここで出て行ったら呼び出しとか悪化するのが分かって止めとったんじゃが…。」

「俺のせいだろぃ?悪い!」

「え、あ…大丈夫だけど。」

「ブンちゃんがそのまま飛び込んでいくんじゃき、止められんかったなり。すまんのぅ。」

「あ、いえ…。」


2人ともしたことは違うけど、私のことを思ってのことだった。
それが嬉しくて頬が緩む。


「ありがと。」

「どーいたしまして!」

「プリ。」


お礼を言って笑った。


「また女子に捕まったらいけねーから、部活終了まで教室で待ってろぃ!」

「へ?」

「教室なら意味ないじゃろ。」

「そっかー、なら部室は?」

「そっちのほうが安全なり。」

「だよな!」


そんな会話をして2人は歩き出す。
反応できずに突っ立っていると、2人が振り返る。


「荷物取りにいくぞぃ!」

「早く来んしゃい。」


状況がよく分からないまま手招きをする2人に走り寄る。
とりあえず、2人の後ろをちょこちょこ歩き出した。


ヒーロー登場!
→ブンちゃんって呼び方可愛いな。

 

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あきゅろす。
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