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君との愛の逃避行
 

あのグループ学習から丸井と上手く話せなくなってるのが自分でも分かる。

あの笑顔が悪いんだ。
男子にしては可愛いすぎるし、でも格好いいし…。


「はぁ…。」

「蒼乃、どーしたのー?」

「分かんない。」


隣の席なのに顔とか合わせてないしなー…。
そんなことを思っていると昼休み終了のチャイムがなった。

顔合わせ辛いなー、と思いつつ席に座る。


「先生遅れるんだってよ!」


と、前の席の伊藤が笑顔で私達に告げる。


「うっし!」

「どーした、丸井?」

「サボるぜぃ!」


いきなり丸井が立ち上がり、サボり宣言をする。
そして、私の腕を掴んでクラスから出た。

後ろからクラスの女子が騒ぎ出す声が聞こえた。


「なんで私も連れていかれてんの?」


問いかけをスルーされる。
そのまま腕を引っ張られて屋上に到着。


「なんで屋上?」

「誰も居ないだろぃ?」

「まあ授業中だしね。」


フェンスに寄りかかるように座る丸井。
来いというように、自分の横を私を見ながらポンポン叩いている。


「あのさー、お前俺のこと避けてんの?」


丸井と1人分の距離をあけて座ると同時に、丸井がこっちを見て問いかけてきた。


「俺、なんかしたかよぃ?」

「いや、してない。」

「避けてる?」

「避けてない。」

「だよなー。今普通に話してるもんなー。気のせいか?」


避けてないと嘘をつくと、1人で納得したようにぶつぶつ言ってる。


「疑って悪い…。」

「あ、いや…いいよ。」


実際避けてたのに、謝られると気分が悪い。
軽く自己嫌悪に陥っていると、いつの間にか真横に丸井がいる。


「え?」

「天気いいよなー、ねみー。」


そう言うと、私の肩に頭を乗せる丸井。


「は?」

「おやすみ。」


そのまま目を閉じる丸井。軽く寝息を聞こえる。
寝るの早い…。


寝顔を見てみると、すごく可愛い。
女子が騒ぐの分かるなー、と思いながらまじまじと観察する。


「って、変態か!」


起こさないように小さい声で呟くと、あまりにも顔が近いことに気付いて、できるだけ顔を離した。


君との愛の逃避行
→別に逃げてるわけではないけど。

 

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あきゅろす。
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