恨みの塊
「これからグループ学習するぞー。」
教室に担任の声が響く。
恨みのこもった視線を感じながらため息をつく。
クラスでのグループ学習は通常4人組。そしてグループは席で決める。
丸井と私は、隣なので必然的に同じグループ。
そして、同じグループの女子が不登校。
丸井と同じグループで女子が1人しかいないから嫉妬の視線が突き刺さる。
更に追い討ちを与えるかのように、もう1人の男子がサッカー部のエース。
何かのエースというのは人気なもので、彼はルックスも性格もいいので人気者。
嫌がらせとしか思えない。
サッカー部のエースは爽やかに笑いかけてくる。
「なあ、山田はどうする?」
「適当でいいよ。」
話とか聞いてねー、まあどうでもいいか。
適当に返すと、視線が鋭さを増した。
「適当って…駄目だろぃ?」
「あー、はいはい。」
どんどん鋭く尖ってくる視線に眉間の皺が深くなるのが分かる。
「丸井、このプリント教卓に持っていってきてくれるか?」
「おう、いいぜぃ!」
サッカー部のエースこと伊藤が丸井にプリントを持って行かせた。
今まで私を睨みつけていた視線が丸井に移った。
…鋭さが消えたなー。
「ありがと。」
「んー、何が?」
てっきり視線を逸らしてくれたのかと思って、お礼を言うと、伊藤は意味が分からないらしく、頭の上に疑問符を浮かべる。
「Thank you!」
「いや、意味分かんないって!」
ははっ、と爽やかに笑う伊藤につられて笑う。
そんな私達の話に帰ってきた丸井が入ってくる。
「俺も入れてくれぃ!」
「えー。」
「ははっ、入れてやろうぜ!」
丸井が加わったから、また視線が鋭くなったし。
恨みの塊
→精神的に痛すぎる視線だった…。
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