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気付いた想いと行動
 

お盆が終わった。あと少しで学校。
全国大会が終わってからも丸井から電話はこなかった。
ずっとずっと待ってるけど電話はない。


私はお盆に入ってから家族とおばあちゃんの家に行っていた。
移動時間が長すぎて疲れた。帰ってきてすぐベットに寝転がっていると、お母さんが部屋をノックする。


「買い物行ってくるからー。あ、あと留守電も確認しといて。」

「分かったー。」


ベットから起き上がって、自分の部屋を出る。


留守電のボタンを押すと、いろんな人から電話が来ていたようで、留守電がたくさんある。
電話の横のメモ帳に、簡単に留守電の内容を書いていく。


最後の1件。最初の方は無言だった。嫌がらせかと思ったと同時に小さな声で負けた、とだけ聞こえた。
聞き覚えのある声で、呼吸が止まった。


連絡網の紙を持ってきて、丸井という名前を探す。
見つけて、ゆっくりと確認しながらボタンを押す。


無機質な音が終わり、女の人が出た。


『丸井ですが?』

「ブン太くんと同じクラスの山田という者ですが、ブン太くんはいますか?」

『ごめんね。今遊びに行ってるの。』

「そ…うですか。すいません、ありがとうございました。」


そうだよね、こんな昼間にいるわけないよね。自分を納得させて、さっきの留守電を思い出す。
辛そうな声だった。負けたって呟いて、それで終わり。


気付いたら泣いてて、自分でもよく分からなかった。胸の奥がぎゅっと握り締められたみたいに苦しい。
なんで全国大会が終わった後、自分から電話しなかったんだろう。今になって理由もなく後悔した。


しばらく泣いていると、いきなり電話がなった。出る気になれなくて放置していても、ずっとなっている。
仕方が無い、出るか。


「はい、山田ですが。」

『蒼乃さん、いますか…?』


電話から聞こえた声は、紛れも無く彼のもので。
名乗っていなくても分かった。


「蒼乃ですけど。てか名乗れよ、丸井。」

『あ、そっか!丸井です。』

「遅いって!」


はは、と受話器から声が聞こえた。
その声がくすぐったかった。


『さっき電話したんだろぃ?悪いなー。』

「いや、別にー。」

『何か用事?』

「全国、見に行ったよ。」

『…………そっか。』

「うん。かっこよかったよ!それだけ、じゃーね!」

『え、ちょ…お』


丸井の言葉を聞かずに切る。
途中から自分の言ってるころが恥ずかしくなって切るって…、なんて失礼なんだ…。


ただぼーっとしながら、さっきまでのことを思い返す。
気付くとにやけていて、嬉しくなる。



ああ、そっか丸井のことが好きなんだ。


気付いた想いと行動
→答えはすぐに分かった。

 

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あきゅろす。
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