焦燥
3
月夜が輝く下、ムチを乱暴に振る舞う私。先端にはハートがついている。玄の趣味なんだろうなあ。
いたい、いたい、ああ、さりなさん。と嬉しそうにする彼の姿が可愛らしくてどうしようもない。
「僕を痛めつけてください……」
なんで、こんな可愛らしい子犬に引っかかったんだ。
なんで、こんな調教のしがいがある子犬に出会ったんだ。
ムチを大地にしばりつけるように打ち付け、玄の体に当てまくる。あざまみれにしてしまうのは、かわいそうだ。
優しい、サド。苦しみ喜ぶ、マゾ。
「踏みつけてください」
「踏みつけるか踏みつけないかは私が決めるわ」
焦らしも全てのプレイに準ずる調味料。
ピリッとしたスパイスのひとつに間違いない。
ハイヒールのヒールで玄の体を踏んづけた。嬉しそうにしてくれてるのが、良い。どうしてもそそられる。
「……勃起なんて余裕だっ……」
ハイヒールの先端、足の付け根部分。そこで玄を蹴った。
ころころ転がる玄。強い立場が弱い者をいじめると興奮する。女王様のような存在でなんだか自分が誇らしくなる。
「あなたが大好きです……」
上目遣いで見る玄もまた、すごくすごくイケメン。
「私もよ」
ふふ、と笑いながら、調教を終えたのであった。
偶然の出会いからまさか、サドになり果てると自分でも思っていなかった。
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