焦燥
4
ライン交換をした時、最初は楽しかったのに、だんだんめんどくさくなってくるという悩みが出てきた。
ライン交換をすると、なかなか会話が止まらない。「ひま?」から始まりそこから何時間会話するんだと言わんばかりの勢い。
ゲームしてるときとか邪魔だなって感じるようになった。見てなかった、ごめんって何回謝ることだろう。
申し訳なさとめんどくささが勝っていた。
「詠歌、全然ライン見ないよねえ」
「ごめんごめん」
こんなやりとりばっかり。会話はラインだよりになりがちな生活であーあ。って自分も疲れてきた。
ラインが楽しいのは人によっては違うけど、私の場合はすぐあきてしまう。
通知は、大変。100件超えなんてザラにある。
スタンプは、大量に植え付けられーの。
遊びのお誘いだけは行っちゃう系。
3人で遊ぶときも、ライン無視系の話は持ち上がる。どれだけ構って欲しいのだろう。
「……詠歌、ブロックしちゃうよ?」
行きつけのカフェでいきなりこんな事を言うマヤは大丈夫なの?
「いやいや、なんで?なんでブロックなの?」
「あまりにも返信しなさすぎでさあ、困るの」
「だからって何、返せないときもあるでしょ……」
返すの当たり前?もうイヤだし逃げたいけど逃げられない。最初から交換しなきゃよかった!
でも、最初の感情はもうその感情だから、感情操作なんて出来るものじゃない。
「返せないときは既読くらいつけたら?」
ミヤが怒り気味の顔を見せる。フラペチーノをずるずる飲む音が耳障りだ。
しかも、ふたり……。目にクマが出来ているが、これって?
「それじゃあ既読無視だね、最低行為かも」
開き直ってしまうわ、なぜかね。
「既読無視って言ってキレるのは、あんたたちだよね」
ふたりはなにも言い返せず、クマで黒い目がびくびくと動いていた。もう1回、言い返しとこう。
「あんたたち、寝た方がいいよ。あまりにもそれは気持ち悪すぎだって」
立って、机を叩いて、私はみっともない。
「さようなら シーユー」
呪文のようにとなえた言葉は忘却の彼方。
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