焦燥
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「ミラクルハッピーデーッ!貴方を愛す日が毎日続くのって最高だね、ミラクルハッピーデー!」
某地下アイドル、エンゼルクロル。今日もドルオタ男子を癒す役割を持っているの。
サイドポニーテールの市塚聖子がセンターで、ミラクルハッピーデーを統率する。
ミラクルハッピーデーは、エンゼルクロルの最高の曲と声を大にして言いたいくらい。
愛せる人が居る毎日はミラクルハッピーデー。だから見つけよう。愛せる人。という歌詞があるのだが、そこで後ろにいる青葉シオサが「だが見つからない!」とつっこみを入れるように言うのだ。
非リア充御用達の歌なんじゃないかと青葉シオサがぼーっとしながら言っていた気がする。
今日はライブを行っている。小さな小さなライブハウスだけど、癒しを求めて来てくれるドルオタ男子がすごく嬉しい。
拍手会で人気を持っているのは、辰己エイナ。黒髪ロングで左につけたシフォンリボンが男をそそらせているのかもしれない。
「……エイナちゃん、可愛いからさあ。目も綺麗だし」
「そうだねえ……。移籍しないか心配だよ」
センターの市塚聖子と青葉シオサの2人が話している。人気の高い、辰己エイナの事を羨ましく思っている。
「あら、移籍はしないわ。もし大手アイドルグループに移籍して通用しなかったら、悲しいほか何もありませんわ」
辰己エイナが列スッカラカンの2人を見て話す。特に見下すような表情はしていなく、悲しげな顔をして言った。
「そうだよねー。それがいいよ」
「エイナたんの修行の地になったら嬉しいよう!」
2人も、エンゼルクロルを通じ、修行の地としている。とても頑張っていると自負していても、結びつくことさえまだ至らない。
「ありがとう。頑張るね」
辰己エイナの方を見て話していたら、おーい。という男性の声が聞こえた。
市塚聖子と青葉シオサの列には2人、3人男性が並んでいた。
「ありがとうございます!」
「市塚ちゃんの手のさわり心地最高」
市塚聖子の列に並んだ40代男性。
手フェチとは……珍しい話だ。
「ありがとうございますなの」
「ふふ」
「あっ……」
青葉シオサの列に並んだ男性は20代くらいだ。
握手した手には何かが挟まっていた。何かと思ってみてみたら、メールアドレスの紙だった。
「おろろ……」
何だかんだで成功した、ライブと拍手会。メンバーは皆、クタクタだ。
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