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次の日は学校だったので亮を気にかけながらも渋々登校した。

大学も何日か無断欠席してるらしい。変に完璧主義者である亮が調子をおかしくさせているのは手に取るようにわかる。


けど、自分ではどうしてあげられる事も出来ないから悔しい。


亮…






「あ、西野!」


「川本?」


「おはよっ!」


「おはよ〜」



教室に入ると川本は挨拶を元気よく言った。

まるで犬の様だ。

尻尾があったら絶対に愛想よくあっちらこっちら振っていると思う!




「あのさ、早速なんだけど、西野に話があるんだ」



おっと
いかんいかん。



「な、…なんだよ、急に?」


慌てて妄想を取り消した。


「いやぁ、あんまり人がいるところでは……その、話し…にくいから…、さ。そうだな、もし西野の予定が空いてるなら、今日放課後どこかのファミレス俺と付き合ってくれない?」


「まぁ、空いてるけど」


「そっか、よかった!」


ぱあっ、と川本の表情が明るくなる。


うぐっ、
このあたしとしたことが…


川本。お前はなんて、なんて可愛いやつなんだ…!


犬を撫でたいと同じ衝動があたしの中にも起こった。


「あ、でも…!」


はっと気づく。

今日は早く帰ろうと決めていたことに。

だって、あの足引っ張り野郎の具合をあたしが見に行かなきゃ、あいつは食事もろくにとらない。



さっさと元気になってもらわなくちゃ困るんだ!



「……あれ、れ、川本…?」


川本はいつの間にこの場からいなくなっていた。

今日じゃなくて別の日にしてもらおうと思ったのに。



「学校で言えばいっか…」


あたしが深く溜め息を吐き出したのは言うまでもない。



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