14
「…なんで来なかったんだよ」
亮はベッドに飾ってあったぬいぐるみを手に取りいじり始めた。
「べ…別に、いく理由がなかったから…」
違う。
本当は行きたくなかったからだ。あんな光景見て、一人裏切られた気分になって、またそう感じる自分も馬鹿に思えて。
とにかくやになっただけだ。
本当は…
「意外と待ってたぜ?チビがめっきり構ってもらいに来なくなったから」
「……」
「……変なの、お前らしくねぇな。さっきはあんなにきゃっきゃっはしゃいでたくせに」
「あたしは…」
「ん?」
「あたしと亮は元々言えばご近所関係にあるだけで、本当はなんで今も亮がここにいるのかさっぱりわからないよ」
「…」
「だって、関係ないじゃん!亮は亮であたしはあたしなんだからっ!ほっとけよ、なんで今更現れるんだよ!!」
正直涙が出そうだった。
違う、
違うんだ。
本当はやっぱり、あえて嬉しいよ。
あえてこんなにも嬉しいけど
同時に不安なんだ。
なんで
今までは来なかったのに、
今ここに亮がいるのかって
「本当はそんなことを話に来たわけじゃないんだろ?違うんだろ?あたしに用があるって、話すべきものは違うだろっ!!?」
「……」
散々喚いといて、余計に悲しくなる。
苦しくなる。
あたって欲しくない。
あたしの予想が当たらないでと心が悲鳴をあげている。
お願い
違うという、その言葉を聞かせて欲しい!!
俯いたあたしの頭にぽんっと亮は手を置く。
「よく、わかったな。」
「え……」
「俺ん家引っ越すんだ。
これはその挨拶だよ」
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