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「……」


「…はじめ?」


「……なんすか?」


「なんすかは俺が言いてえよ。さっきからなんで何回も俺をちら見する?……はっきりいって、不快なんだが」


「べ、別に…。」



あわてて前を向く。

だが、この動揺っぷりは亮に不信感を抱かせるものに変わりなかった。

やっぱり、
亮はあたしの素っ気ない返事に納得していないらしく、今度は亮があたしの観察をはじめたようだ。


ああ、くそっ

なんでこんなことに。



あたしは後ろからついてくる亮の存在になにかと気を奪われるばかりで、

さらに亮が今あたしをじっと訝しげな表情で見つめているとなると、余計ソワソワして落ち着かない状況になってしまった。


奴が音をたてて後ろからついてくるだけでもよくわからないこの緊張が走った。

爪の先まで電光石火のごとく神経が震え上がる。



何故
女ったらしのクソ野郎如きに…


緊張しているというのはやはり、今の亮が他人の様に見えるからだろうか。


他人としかもう、とらえられなくなってしまったのだろうか。




それほど
あたしたちはお互いに遠くて長い距離をおいてしまったのだろうか。









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