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非行行為


「んで、先生がテスト中ずっと教室に居るんですよ」

「…君ねぇ」




京極堂の母屋の縁側で、暖かい陽を浴びながら話しかける。
それも一日のプランに入っていて今更この妙な情景は珍しくなかった。




「生徒が非行行為をしないように見張るのは当然のことだと思うよ」

「それだとイロイロできないんですよ」

「・・・・イロイロ?」

「ふふん、気になりますか?」

「あいにく、ならないね」




ちぇ、と舌打ちをした。
一回寝返りを打つ。あぁ私は寝ていたのだったと思う。
芥川の幽霊を見ると私の方を見ていた。




「何だ、やっぱり聞きたいんじゃないですか」

「いいから、早く話し給え」

「はーい。いいですか?先生はずっと教室に居なくてもいいんです
どうせ小心者の私たちにはビクビクして下を向く以外無いんですから。
それに・・・・・・・あぁ席もだめだな。」

「ころころ話を転がさないでくれ。君の論には席も関係あるのかい」

「そうですよ。一番後ろの席で、隣同士でなきゃだめなんです」

「・・・・一体何の話をしているのか分からないよ」

「恋愛、恋人たちの話ですよ。いやだなぁ中禅寺さんたら」




そう言って両手の平にあごを乗せてみる。所謂ロマンチックポーズだ。
すると中禅寺は驚いた顔を作った後に天井を見た。
どうしたんですかと呼びかけようとしたらいきなり立ち上がった。



「君、それは君が好意を寄せる異性が居るということかい?」

「中禅寺さんも中々びっくりさせる…ま、そんなところですかね。
んで、先生が居なくなったらキスとかキスとかしちゃうんですよ!
どうせ皆後ろなんて見やしません、隣だって見やしないんですから」

「・・・・教師の目が怖いんじゃなかったのか」

「怖いですよ!でもスリルがあっていいじゃないですか」




呆れたようにため息を吐かれる。
自分でも馬鹿馬鹿しいことを言ったと思う。
でも本当だった、誰にも邪魔されない時間がほしいのだ。




「君の好意を寄せている相手は誰だい?ちょっと挨拶してくる」

「何ですか緊迫状況のお父さんみたいに……
仕方ないですね、ちょっとここに立ってください」




手招きして、私も立ち上がってガラス戸の前に中禅寺を立たせた。
ガラスに写った中禅寺を指差して



「ほら、この人です」

「何言ってるんだ、これは僕だ」

「そうです中禅寺さんです」

「・・・・」

「今から学校行きませんか?
そこで中禅寺さんに男子生徒になってもらいます
そして設定はテスト中、後ろの席で生徒二人の愛が・・・!!」





白熱し乍ら語ると、加虐的な笑いを作られる。




「何も学校じゃなくてもいいだろう、ここで」

「ムードが必要なんですよ、ここじゃあ、あっひゃい!?」

「色気のない声だなぁ」




厭らしいとしか思えない手つきで背筋をなぞられた。
低い声になっているのが分かる。
なんてずるい男だろう、こんなことをされれば流されてしまう。

ぞくぞくと鳥肌が立つ。





「いい顔になってきた」

「うるさ、い ぁふ」







どうだろうこの男は常識というやつを知らないみたいだ。
でもこの常識知らずが堪らなく好きなのは言うまでもないことだから


されるがままに、なるしかないのだ。







(いい声を出すね)
(貴方に言われたくないです)





 

  

あきゅろす。
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