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目指せ原型!!


貴方のために作りましょう

大好きな貴方のために作りましょう

甘い甘いお菓子を・・・・貴方に・・・・・・・




***



「しっかし、良くこんなもん作れたなぁ」

「褒め言葉ですか?ありがとうございますー」

「違ぇよ」



私の目の前にいるのは木場さん。
今日はうまく作れたお菓子を試しに食べてもらおうと
この人の元にやってきた。

他の人はダメだ。
皆お世辞ばかりで、本当のことを言ってくれない。

この人が一番素直(まとも)な意見を言ってくれる。



「こりゃあ・・・・見た目がだめだな」

「味は?」

「甘すぎ、これじゃ甘党向けだ」

「それならいいんです」

「は?」

「いえ、こっちのことです」



甘い?

わざとですよ、甘く作ったんだ。
あの人も甘党だから砂糖をたっぷり入れたんです。
甘くなかったら困っちゃいますよ。




「問題は見た目だ。これをなんとかすれば・・・」

「ちなみにコレ、何だと思います?」

「え・・・・・そぼろみたいな・・・・甘いやつ」

「違いますよぉークッキーです、お馬鹿さんだなぁ」

「分かるわきゃねえだろコレで!!」



せめて原型を留めてから持って来い

そう言われて、急いで家に帰って猛特訓をした。





***





よし、原型も留めている
味も抜群に甘い
店に売っているものと何ら変わりないぞ!!



「待ってろ中禅寺!」



意気揚々とそれを持って眩暈坂を登っていった。

登りきるとすぐに京極堂が見えた。
母屋の方に入って行って戸を開ける。


「中禅寺ーー!!」


暫くすると、奥から痩せた男が一人出てきた。



「やれやれ、騒がしいね君は・・・・」

「どうせ煩いですよー・・・・」

「そう落ち込むな、ほら上がって来なさい」

「お邪魔しまーす」




上機嫌に廊下を歩いて座敷に入る




「おう、名前も来たのか」

「木場さん・・・!」

「何だよその顔は、俺が居ちゃ不満か?」

「かなり不満です。というか帰れ!」

「ひでぇな!」

「まぁまぁ・・・・それで、何しに来たんだい名前」

「あ、そうそう!」



うっかり木場さんを罵倒する事に夢中になっていた・・・

バックを開けて、中から箱を取り出した。



「お、もしかして甘党ってのは・・・」

「黙れ木場」



一喝して木場を睨む。
舌打ちして黙ったのを良しとして、箱の中身を取り出した。



「これは・・・・」

「プリンです!」

「クッキーは無理だったか・・・・」

「だってどうしてもバラバラになって・・・・」

「待て待て、僕を置いて話をしないでくれ」

「それが、ですねぇ・・・・」



私は順をおって中禅寺に話をした。



「へぇ、僕のために」

「そういうわけでは!!」

「まぁ良いよ・・・食べさせてもらおうかな」

「どうぞどうぞ!」



私専用にと余分に3個持ってきたうちの1個を木場さんに譲った。
3人同時にいただきますと言ってプリンを口に含む。



「甘ッ!!」

「んー・・・甘い」

「美味いね」




その後木場さんに京極堂は舌がおかしいだのいかれてるだの罵られていた。
でも私は、最高に嬉しかったりする。

美味いね、だって。

作って良かったって思えるじゃん







(また作ってくれるかい?)
(はい!(正直材料費が半端なかったりする))





 

  

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