鯉のぼり家族
「父ちゃん…」
「なに」
「いつまで泳いでんの?」
「………。」
「もう、とっくに五月五日は過ぎてんだよ」
「そろそろ、水の中を泳ぎたいよ」
「つべこべ言うな!黙って泳げ!」
「ぱくぱく」
「パクパクすな!」
「ホラホラ。お父さんに叱られるから頑張って泳ぎましょ」
「母さんや」
「何ですか、父さん」
「何でも、スピード社の水着は早く泳げるらしいで」
「へぇえええ、そうなんですか」
「なあ、母さん…」
「な、なななんですか父さん…」
「ワシもスピード社の水着を着たら、金メダルを取れるかのぅ…」
「ぱくぱく」
「ぱくぱく」
「ぱくぱく」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「父さんは、そのままの姿で十分ですよ」
「そうか?」
「そうよ。金メダルより、アタシたちは父さんに勤メダルをあげたいくらいだわ」
「うまい!」
「おーい山田君!母さんに座布団一枚!」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!