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短篇
エロいかなヴィラン?4
目の前で堂々と鎮座する姿が全てだから受け入れる。受け入れなかったその時には、羽虫を潰す様にその命は散らされる事だろう。そんな具合で謳われる程度には強大な力を持ったヴィランであり、悪である。
恐るべき所はその艶めく金属質な光沢を帯びた黒色の鱗とくすんだ山吹色の肉体から繰り出される力に一切のサイバネティックを使用していないながらも、拳で、または武器で屠ってきたヒーローは数え切れない。
長らくの戦いの末に片方の角は削り折られ、右手の小指も欠けている。にやにやと嗤い剥き出しにしている歯列には煌びやかな金歯が目立った。それでも尚君臨し続けている。前線で叩き潰したヒーローをアジトへと持ち帰るのだ。ちょうど今の様に。

「まずは此処まで強引に連れて来た事を謝罪しよう。何分急を要するのでな、この俺が」
「縫合まで待たせてくれましたが」「……そうか、今直ぐ早くやってくれと思ったがな、ちょっとこっちに来なさい」

何が飛び込んで来るのかも知ったものではないと、電子的物理的に最も防御を手厚くしていた手術室への扉は、単にそれ以上の暴力によって強引に押し破られていた。身の丈程はあるパイルバンカーによって。後は目隠しをさせられ、移動したらこの有様。
手招きするのに合わせて椅子に座らされていた闇医者の背後から怯えた表情をその顔に張り付かせた、手術室の扉を破った本人である豚人、利き腕をそのまま義腕に改造、パイルバンカーを射出するに十分な機構を備えた彼が歩み寄って、

「もうじっ」

謝罪よりも先に拳が何の遠慮も無く顔面に叩き付けられ、闇医者の横にまで吹っ飛んだ。痛々しく目の前で片目の周辺が腫れ上がり始め、目尻から僅かに血も溢れている。潰れたかどうかは判断し辛い、
そう思っている間に爪先が胸元に突き刺さった。肋骨の隙間を通り抜けて肺か心臓でも強打したかもしれないと思っていると、背面の扉にまで吹っ飛んでいく。血混じりの泡を口から吐いていた。

「いやあ済まないね、きたない光景を見る事になって」「……それで、用件は何なんです?」
「どうやったら機構が爆発しないのか…爆発するのか、その辺りを調べて欲しいんだ」

手をハンカチで拭きながら竜人が操作盤を弄る。各所の操作盤に部屋一面のモニター、何かを監視する為の空間とは知っていた。扉が開いて引き摺る音と共に閉じる。あの豚人がどうなったか、考えない方が良いだろう。
モニターの中には、ヒーロー達が映し出されていた。誰もが手足を拘束された磔の状態になっており、一部では負傷が見られ、人体改造を施した頭部のバイザーなり、手足を機械に挿げ替えていたりと特徴が確認出来た。
爆発が発生してからまだ一週間も経っていない上に、闇医者も知っている様な有名なヒーローまで捕まっている、または用意されている。全員に輝石は問題なく埋め込まれている筈だ。ヒーローとはそういう存在だ。

「ぐちゃぐちゃの死体からは取り出せた。麻酔無しでは駄目だった…そこで先任がヘマをしなければ、代わりのお前を此処まで連れてくる事も無かったというのに」
「さっきまで麻酔有りで取れていましたけどね」「だったら目の前で再現してくれ」

軽く肩に置かれた手からは、生臭い血の香りが残っている。

「ストレスを与えるのか、快楽を与えるのか?それとも体内の状態か、特定の成分か……全てを洗いざらい調べ抜いてくれ、アームの操作から室温の変化まで全て自由だ、ストックも連れて来よう」
「えーと……えー…ヒーロー達の情報を改めて」「……オーケイ」

にっと笑っての返答には闇医者に対する期待と、それに応えられなかった場合のペナルティがどれだけのものなのか知るには十分だった。
まずは初回、あの狼人の再現。義手義足を嵌めた者に対して。下剤を飲ませた、カテーテルを突っ込んだ。そこまでなるべく細かに再現しようと思った。

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あきゅろす。
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