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短篇
エロいかなヒーロー?2
同様の案件が同月に確認された限り四度起こったとなれば、誰もが無視出来ない状況に陥ってしまった。ヴィラン側に捕獲されたヒーローがニ人、ヒーロー達からの尋問を受けている最中にヴィランが一人。
それからヒーローの死体を弄り回していた技術者の下で一度。サイバネティック機構が珍しくも無くなった今の時代、部品を新たなヒーローへと引き継ぐ事も売り捌いて資金に換える事も珍しくない。
巻き込まれた死傷者は三十人を越している、そして爆発した者の共通する点として、それぞれが各所機構を装着していた事だった。動力源である輝石とそれに応じた部品や人工筋肉をまとめて体内に埋め込む方式。輝石の安定した力の供給は誰もが認めている。正義も悪も。

「現在原因を調査しているので、詳しい話はまだ何も言えない」

ヒーローとヴィラン双方に変わらぬ技術を供給していたかの会社、爆発したヒーロー二名含む多人数の改造及びバージョンアップに関わった担当者は、一斉に詰め寄ったメディア達にそう言い残してから足早に会社の中へと入って行く。
何処が爆発したのかと調査を行おうにも、爆発した死体は皆が皆著しく破損して再生医療も何も役に立ちはしない。何よりも分解と調査を主立っていた人から物品まで破損してしまっているというのがヒーローとヴィランそれぞれの実情。
有名だった正義が、悪の中でも深く顔も広かった存在が一様に粉みじんになってしまったというのだから、自動防御も役に立たなかった、それだけの爆発。輝石の色とも掛け離れた橙色に近しい炎が炸裂したと語っている。何れにしても、行き詰まっている。

幾らかのヒーローやヴィラン、同系列の会社で改造を受けた者達も気が気で居られない。身体に埋め込んだ力が何時爆発するかも分からない代物と知れば当たり前の話だろう。
当然、関わった技術者やはたまたメカニックであるヒーローの隣人、ヴィラン専属の闇医者等は話を断った。分解中に何時爆発するかも分からない代物を扱うという行為からすれば当たり前の話だろう。
言葉と態度で示してどうにかなるならば、この世にヴィランという存在はいなくなり、ヒーローだって存在する必要が無くなる。闇医者は自らが装着した機構によって脅され、ヴィランである狼人の手術に携わる事となった。

「……全く、下手したら私も死ぬというのに」「い、い良いから早くやれ」

顔は結構整っているが、身体には皮の中から肉を抜いた様なだらしなさが目立っている。射撃武器とジャミングを主だった機構としており、専ら悪辣な支援に周りおこぼれに預かる様に動いていた。
輝石を埋め込むまでは正規の手順を踏んだが、装置に関しては裏で取引された非正規品をこの闇医者によって装着したものだ。安上がりとの名目であり、それ以上の追跡を会社も行っていない。
利益を追求して人権とヴィランに脅かされる危険を蔑ろにしているとも糾弾された事もあったが、ヒーローに対する貢献も無視出来ず、何より輝石を媒介した力は圧倒的に強力なもので、また一つ技術を進めたと称される性能があった。

サイバネティックなヒーローに、またはヴィランになりたいならば、まずは輝石を埋め込まれろと、それぞれの共有認識になる程に。手術といってもごてごてとした機械が必要である。闇医者の眼鏡を掛けた人間はカテーテルを取り出し、狼人の股間に手を伸ばした。
狼人は衛生上の理由から、洗浄を終えた裸体に紙製の前掛け一枚という姿。勿論改造を受ける前としては、何も問題は無い当たり前の光景である。

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あきゅろす。
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