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短篇
混濁6
「かうぅ……か、ぐ……」「っ……イイねえ、あっという間にエロくなっちまって」

鱗を突き破った牙が肉に食い込み、骨と筋肉まで押し潰される感覚を味わった上で彼は軽々と笑う。道具を吊り下げた腰紐も放り投げてやや大きい音を立てるが、彼は少しも驚いた様子を見せては居ない。
屈強な筋肉と無骨に太い指先の割に人ではないその手は実に丁寧に彼の服を脱ぎ去り、離れてしまったら乱雑にぽいぽいと放り投げる行為を繰り返す。既にその後孔がひくつき蕩けている様子が目に入ると、また相手は笑うのだった。
薬が止むを得ない理由で買えなかったりした事は、これが最初では無い。人間によって構成される街中であっても、度々にこういった事が起きてしまい、その度に彼は他人の血肉と精液を貪る事になった。

奇病だからと表立った仕事は離れて行き、結果として彼が日頃行っている仕事は男娼しか出来なかった。薬が切れてしまった場合を考慮して、口枷を嵌めた上で客を取らされている。
血肉でなくとも精液を、他人から溢れた液体を取り込めば、症状は収まる。さもなければ嘗ての様に、誰かを食い殺して、そのまま別の誰かを襲ってしまうしかない。

「ぐる…ぅ、っ……!?」「うおっ柔らけーな……でも、もう少し慣らしておくかぁ……」

そんな状況を打開する為にと、彼は年単位での薬のストックを得る為に宝石を求めて訪れたのだ。遠征の為に貯蓄も大半を使い果たしており、宝石を持って来るしか無い。
しかしながら、其処には宝石も持っている相手が居た。相手が今は自分を抱こうとしていた。念の為にと指が複数本突き入れられた後孔は相手の予想以上に柔らかに拡がってくれている。
ぐちぐちゅと音が響き、軽く掻き回される中で前立腺にも指の腹がぬるりと擦り上げ、あっという間に彼は絶頂に達してしまう。精液の混ざり薄く濁った先走りが、僅かに鬱血の残る彼の胸元に飛び散った。

痺れが突き抜けるかの様な快楽に耐えるべく、彼は思い切り相手に爪を立てる。鱗によって阻まれてはいるが、牙はそうではない。より深くに食いついてしまい、相手の骨にまで届いて僅かに軋んだ。
血液を貪り続けていた事で僅かに飢餓は醒める中、快感が襲い掛かる。口の中に入り込んで来る忌まわしい様な鉄と血の味がまたやってしまったのだと彼に悔いを、それ以上に指の動きが荒さを増す今の快感が尚も彼の竿から汁を飛ばす。

「っ……は、ぁ、ごめ……んー、っっ!?」

牙を振り絞って引き抜き、食いついた事への謝罪を行おうと口を開いた所で、頭の角度を変えた相手が、お返しとばかりに食いついて彼の口を塞いでしまった。
彼とは違い牙が立てられる事は無く、その代わりとばかりに唇を一気に押し広げて表面に粒を携えた長く太い舌が口内へと押し入って来る。今まで感じて居た血の味わいと、風味が異なる唾液の味わいが混ざり合う。
口に押し入る舌と入れ違いで、腸液を纏った指先が音を立ててより淫らに拡がった後孔から引き抜かれ、離れていく。頭が首元から離れた分、ぐいと更に組み敷いて、お互いの胸元を触れ合わせ、脚が開かされた。

「ん、んっ……っ…ふぁは、ぁ…が……っ……!?」

間近の相手の目が笑っているのだとは彼も分かった。水音を何度も口腔内に響き渡らせられていく中、開いた後孔に相手の腰が押し付けられ、ぐい、と短く何かが押し込まれようと。
分厚い胸板に緩く押し潰された故に何が起こったかは彼には見えはしない。相手の股間には肉の割れ目が明確に開いて、其処から雄竿が興奮に応じて露出しようとしている。
まだ完全に血が通っていないままの相手の人ではない雄は、彼の後孔に入り込んでから、本格的な隆起を始めていた。

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