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短篇
お金の話3
まるで人以上の大きさを備えた、引き締まった筋肉を短い紫色の肌に隠そうともしない四つ足の獣だったが、その目は二対に四つ。口元から覗く牙は鋭く、頭を含めて代表には怪しげな赤色の燐光を帯びる血管が走っている。
何よりも恐るべきとはその股間から堂々と反り立っている雄の代物であるのだろうう。人間の握り拳よりもニ回り程巨大な睾丸は重たく僅かに動くだけで堂々と揺らめいている。
竿自体と来たら今まで散々に人間の腸内を掻き混ぜていた機械のそれよりも補って余りあるだけのも凶悪な様相を示して居た。全体に回る血管は配管めいて複雑に盛り上がり、槍のように尖った先端。
表面には無数の真珠は機械と違って存在していないものの、湯気すら立ち上る様な熱気と脈打ちに合わせてびきびきっと強張った血管が膨張と収縮を繰り返す姿は、玩具よりも奇抜で、機械よりも無慈悲だろうか。

「っ、〜〜っ……」

雄と獣と熱の入り混じった匂いが近寄るごとに強まるのを感じて、人間は身を捩らせるがだからといってどうにもなりはしない。変わらず人間は四つん這いのまま固定されているし、尻穴は未だに閉じても居ないのだ。
小さな重低音として唸りながら、湿った鼻先を臀部に触れて鳴らして匂いを嗅ぎ取り、嗅覚で目の前の人間を雌なのだと認識する。機械の放った白濁には、フェロモンがこれでもかとぶち込まれていた。
ぐるる、ごるると背後からだったのが頭の上から聞こえる様になったその時、獣と機械との相違点を身を持って知る。熱の通った肉体、獣の香り、あてがわれた竿の質感、何から何までが。最後まで希望を捨てない様にしながら、しかし獣は、

「ぬぇぇぇい!」「はぅあぁ!?」

狼人が連れて来られたのは奇妙な路地裏のスタジオであり、用意された服を纏ったまま剥き出しの睾丸へとハリセンが襲い掛かる。彼が纏っているのはニューモデルだとかの下着であるらしい。
正確には下着であるかどうかも分からない様な、腰と腿とを巻き付ける革紐のみで構成されており、あちこちが丸見えであるのは目に見えて明らかだった。股間を守る為という目的は果たされてはいない。

「だからぁ!このファッションは半勃ちこそが輝くんだから!気持ちは痛いほど分かるけど俺も、心を鬼にしてぇっ……」
「は、はい…すんません……」

誘われるままに狼人が請け負う事になった仕事はファッションモデルであった。特に股間周りがあれな犬科獣人が募集中だったらしい。そして半勃起状態を保つ為、カメラマンたる彼はハリセン片手に鬼になっているのだ。
狼人は素直に思った。変態だな、と。

「じゃあ次!次は開脚後転からジャンプして!半勃ちで!」「うっす!」

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