短篇 アレした3 如何にも強い力を携えた筋肉質な体躯にも、彼は気圧されなかった。ただその切られた腱を痛々しく思ったのは事実であり、彼そのものの思いとして確かに優しい言葉で諭そうとしたのだ。その外見の割に、彼は話を聞いてくれて居た。 その体躯には相応しくないとすら思える程に彼の口は饒舌に語ってくれる。既に決着も付いてしまった以上何も言う事は無いが。国王である彼が奪い去った命と焼き払った大地はどうするのかと。 兵士で無い以上極力救うべきであり、決して生活が危険に晒される様な事には絶対にしないと毅然とした態度で国王は答えたが、兵士達が陰で何をしているのかは何一つとして知らなかったのである。 ならば兵達の命はどうなると彼は続けて問い掛けた。喪われた命、今もまた捕虜として捉えられているまだ若い者も存在する、彼等に不当な傷を付けないと言い切れるのか。目が届く範囲ならば絶対にと彼は答えた。 だが、国王の目の届かない所で何人かの兵士が男娼に仕立て上げられてしまったとは、当然の様に知らなかった。彼自体は前線に出る経験が無い程に圧倒的である。彼を除いて。 「お前の言いたい事は良く分かった……しかし、それはともかく」 彼は変わらず全裸であったが、その身体にはハイエナ人である国王の様に股間にぶら下がるものは何ひとつ存在しない。代わりに股間に有ったのは慎ましい程の一筋の縦割れ。それが爬虫類他種族の特徴だとも国王は知って居る。 ぐばぁ、と音を立ててその縦割れが開いた。炎の様なその鱗の色にも見合った濃い赤色の湿った内側の肉を国王の目の前に堂々と見せつけ、次にはその内側に隠れていた存在が、所謂男性器が露わになったのだ。 屋根が壊れて居ながらも重苦しい雰囲気が溢れ出す様な廃屋の中にて、鮮烈な雄の香りが鼻先を打つ。若い頃に時折誰が大きいだの太いだの浴場で話題になったりもしたが、その過去すら消し飛んでしまう程の。 「収まらんのだ、それに…もう分かっているのだろう?これからお前が、何をされるのか……」 「っっ……や、め」 問答無用で、蜥蜴人たる彼はその股間の滾りと同様に国王を呆気なく組み敷いて身包みを剥いだ。愛撫も何も無く犯されて行った。何も言葉が出なくなるまででも止まらずに、その腹部が丸々と膨れ上がって、口から泡が溢れ出るばかりに犯されていった。 朝日どころかあがりきった真昼の太陽が朧げに開いた瞳を焼くまで国王は犯され続けた末、満足した蜥蜴人は国王を担いで近くの水辺まで歩き、その身体を外側も内側も綺麗に清めた。 しかしこんな者も居るのだな、と蜥蜴人は思いながら国王の体内へと指を差し入れ、糊の様に内壁にへばり付いた精液を掻き出す。その強張った頑健な身体は間違いなく雄のものであったが。 その股座に存在して居たのは、雄のそれと合わせて雌の肉割れが明確に、そして今となっては蜥蜴人の精液にたっぷりと満たされて居たのだ。 「……まさか、本当に孕んでいるとはな。今頃と思って居たが」 「ぁっ……な、何で……」 「我が子が生まれようとして居るのだ、その姿を見届けるのは…父親の務めだろう?」 「っ…………!」 分厚いカーテンの内側から彼自ら板を貼った窓を突き抜け、其処には蜥蜴人が居た。恐ろしく、頼もしく、腹部の中ではいよいよ新たな子が産まれようともがいて居る。 じっとりと濡れた下半身の服を蜥蜴人は優しく脱がして、足を引きずりながら寝台の上に身体を横たわらせる。その服装とは変わらず全裸で、その縦割れは既に開いて居た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |