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短篇

「転換手術後」

Cは男性ではなくなった。男性としては恵まれなかった体格は離れて、要するに外見通りに完全な女性になってしまった訳で有る。内面もまた同じく。
しかしながら、性別が変わってしまったとしても身体から溢れる匂いには明確な発情の効果が確認出来た。ひたすらに雄の獣人を求める性欲の高さも以前として健在であった。
向かわせた獣人が異性だとしても同性だとしても、放った匂いを吸い込むだけで発情期と殆ど同じ状態に陥っては、大体の相手が連続してCを貪る様に抱き行為を続けている。
全身が精液に塗れた状態でも、下腹部があまりに精液を受け止め続けた為に膨れ上がっていても獣人の発情は即発し続けている。試しに老人と言える年齢の獣人でも、少年でも一切の変化は無く平然と発情してはCを味わって居た。
人工的に創り上げた子宮迄も確りと精液で満たされた事だろう。Dの調子も同じく淫らに獣人を求め続け、二人から溢れて居る匂いの成分は殆ど完全に一致したのを確認。
C固有ではなく、与えられた環境が人間を発情した状態に変化させ、雄の発情を誘う匂いを全身から放つ様にさせるらしい。そう考えるならば、結論を言い切るには参考が人間二人だけでは些か不安要素が残る。少なくとも百人単位でのサンプルが必要だと感じた。

「被験者増加手順」

CとDに投与した薬品を待機中に微量ながら散布し、合わせて発情時の匂いを同時に振り撒く。この時の濃度はごく微量ながら敏感な相手の場合は明確な反応を示す濃度である。
露骨な反応を見せた被験者候補においては第一に素姓を調べ、住居に対し被験者募集の旨を記載した手紙を郵送する。この際手紙についても発情時の匂いを付着させておく。薬品の効果はそれぞれ一週間程度。此れにより快楽への欲求を倍増させ、新規被験者参入に役立てる計画である。
目標被験者数…現在の五十倍、百人を目安に翌日より開始。実験の内容的に大掛かりに行う事は不可能で違いない為、年単位で気長に行う事にする。尚、既に確保した被験者にはC、Dと同じく薬品投与後に獣人との行為を行って貰う。
既にこんな計画を練り上げて居る時点で、社会に対する発表は不可能だと考えて良いだろう。如何なる賞賛も得る事は無い。単なる自分自身の知的欲求を満たすだけに過ぎない。が、誰も成し得なかった事をやるのに意味が存在するのだ。

「実験三百六十五日目(統計)」

遂にこの実験も一年間が経過した。集めた被験者は十日以内にC並びにDと同等の発情状態を見せては誘発する匂いを辺りに振り撒く様になって居る。弾みで販売する事にした香水も極めて順調な売り上げで資金繰りに困る事は無い。
否、既に被験者から抽出した成分によって各種香水や媚薬の大元が出来る様になっている。既に被験者と彼らに欲を注ぎ込む獣人達は言わば製造工場に等しいものになっているのだろう。
万が一被験者に問題が出て来たり、不慮の事故が存在したとしても今では数日あれば。獣人が居なくとも研究によって開発に成功した機械が有れば構わない。
これより先も、被験者達は乱れるのだろう。精神の次にその身体が、完全に破壊される迄。

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あきゅろす。
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