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短篇
上暑-5
「……まさか先輩、毛も何も生えてないんすか!?」
「っ……ああそうだよ!ここまで確認しないと分からないって言うのかお前なぁ!」

実に他愛のない話で呼びつけられたと言うのに、気が付けばお互いが丸裸を見せてしまって股間も何も剥き出しになっているという有り様。
竜人自体の頭の良さをどうこう言える気概は無いが、常識が覆されてしまったのがこれで二度目であるとすれば理解の遅さにも納得が行くというもの。な訳あって堪るか。
上の服は破られたし下の服も脱がされて、おまけに密やかに隠そうとしていた局所の件までわざわざ竜人に噛んで含める様に教える事になったのだ。情けなさが溢れて何とも言えない顔になる。

「……っへぇ……って事は、えっと……子供の」「それ以上言ってみろ!殴るぞ!」

ある種のコンプレックスでもあり、銭湯やら何やらはなるべく行かず、どうしようもなく行った時には頑なに隠していたものである。
吹っ切れてしまったとなればそれ以上に何も言う必要も無い。きっぱりと言いながらどれだけ通用するのかも分からない、というか仮に振るったとしてもどうしようもないというのは分かった拳を握り締めて威嚇する。

「……えーと、じゃあ何でこんな感じに……ちょっとだけ勃起してるんすか?」「ひぃっ!?い、や、だからそれはっ……あうぅっ!」

指を差して笑う様な素振りも何も見せていないとは分かっていたが、指摘して待ち構えていたのはただの純然たる興味であったのだろう。
驚く間もなく突然に触れられた事でびくん、と甘く血管を迸らせていた肉棒が更に竜人の手の中でも分かる様に隆起していってしまう。一切の毛が生えてない掌と合わせてぴたぴたした感触が残る。
何を弁解しようとしても、咄嗟の出来事なのと合わせて既に勃起してしまっていたのは事実であるし。言い返せない間にも股間は徐々に熱をも伝えて、気が付けば完全に勃起してしまっていた。

「……お前、がっ……そんな風に弄るからだろっ!」「まだ何も言ってないっすよ……ってか……毛が生えてない人間の身体って、面白い手触りなんすねえ……」

既に完全に勃起してしまっている股間を見ながら、うっとりしているのか目を細めている竜人の姿にどう形容すれば良いのかも分からない感情だって湧き上がっている。
股間を弄り終えた掌が内腿を、腹部を、胸元まで撫で回したかと思えばぐっと身体が迫って来る。元より体格の差は圧倒的、詰め寄られて顔まで迫っては容易く人間の身体は竜人の巨体によって覆い被さられて。
おまけにこの近さ。てっきり何かの間違いでも犯そうとしているのかと無理矢理にでも弾き出してしまおうかと思ったが、胸板に押し潰されかかろうとした所でやっと竜人は動きを止めてくれていた。

「っと、そういや俺の方も触るんだった……毛を触って欲しいっす。手触りの方で何か変な所無いか調べて欲しいっす」
「じゃあ触って欲しかったって言えよ!何で俺を脱がして触ったんだっ」「……上の服はきっちり弁償するっすから、まず胸から」
「言っとくけど股間だけは触らねえからな!」

胸毛の次には腹、次には股間が迫ろうとしているだなんて今の人間にはよくよく知っているものである。
断った所で押し潰されるばかりだし、勃起と合わせて意識の滾りも覆い隠せなくなっているとなればどうにか気合で押し切るしかない。
問題としては気合で押し切った所で竜人の胸元に生えた毛並みを撫で回した所でどうやって気合を発散するべきなのかと言う話でもあったけれども。

「あ、じゃあ頼むっす」「おっ、ふぎゅぅぅぅ!?」

何で零距離で顔に密着させるんだ、と言いたげな声を上げながら、了解を得た瞬間に竜人の胸板によって人間の顔は押し潰された。
以前とは違って毛足のしなやかながらも顔を胸毛によって覆われて、咄嗟に息を吸い込んでしまった途端。
何かが激しく疼き走り抜け、思わず人間の竿はしゃくり上げて先走りを散らしていった。

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あきゅろす。
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