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短篇
上暑-4
基本的には竜人と人間との種族の差などこういうものであったりする。人間の方が当然ながら華奢を通り越して貧弱だの何だのと言われる程度の差を持ち合わせているのが分かる程の容易さ。
勢いを持ち合わせているのも合わさってか容易く人間の身体は上半身が丸々露わになり、竜人の身体に比べると薄くて華奢で細い、と竜人からしてみればどこまでも頼りない様な肢体が露わになってしまう。

「あれぇ?先輩って毛とか生えてなかったんすか?」
「……まず服を破った事謝ってくれよお前なぁっはひゃっっ」「……うーん、やっぱり生えてないっすね……って事は俺も剃った方が良いんすか?」
「だぁからぁ…っ……何にも映えてない人間も、居るってだけの話なんだってなっっ」

肌着諸共ただのぼろ布と化してしまった勢いをそのままに、露わになった人間の肌の奇妙な様子に無骨な掌が好き放題に撫で回されるくすぐったさに声を上げる。
一般的な人間程の年齢は、獣人や竜人といった事も関係無く立派に毛が生え揃っている年齢である筈であったが。
どれだけ撫で回してもすっきりした腹も薄っぺらな胸もほっそい二の腕に腋の下といった際どい部位も、何処を取っても無毛ではないか。
くすぐったそうに暴れる人間の身体を少しの力で抑え込んでやりながら、不思議そうに撫で回している間に人間が腕を押し退けようとしている事にやっと気が付いた。

「もう毛も何も生えてないって分かっただろっ……良い加減手を放せぇ……お前の部屋ん中でこんな事やられたくない……っ」
「……そう言えば先輩、今気付いたんすけれども……」「話してから気付けっ」「あれ、どれだけ見てもアレなんすけれども……ヒゲも何も生えてないんすか?」

胸元を容易く覆えそうなぐらいに大きい掌に太くて長い指、丁重な手入れを行っている筈なのに爪だって鋭く磨き上げられている様な印象を備えている。
そんな手が人間の肌を好き放題に撫で回すだけで内心で肝が冷える思いであるのに、組み敷かれたまま顔だってぐっと迫って来れば変な気分以上の何かが湧き上がって止まらなくもなるもの。
間近に近寄った獣の両目は、人間の顔にも毛を剃った痕だとか、所謂手入れしても消えない痕が青髭だったか緑色だったかと思い出せない。人間野顔はまっさらなままに見えたから。

「人間の中にも生えない奴が居るってだけの話なんだよっっ……裸なのも嫌なんだからとっとと離れろお前ぇぇっ」
「……えっ!だったら先輩のチンポって」「だぁかぁらぁさぁっ」

気付きと勢いついでに股間に向かって手が伸ばされては、流石の人間だって抵抗するが。
無理矢理脱衣を抑え込んだとしても衣服の繊維の方が持たない可能性があるというのは先程、というかシャツと肌着で確認済みとなれば、全力の抵抗も出来やしない。
なので出来れば止めろ、脱がそうとするな、といった調子で力よりも言葉を用いてどうにか拒もうとしていたが。
最終的に待ち構えているのは竜人の力となれば、人間の力はまるでどうしようも無かった訳である。

「うぉぁっ!?せ、先輩……!」
「……あーもう!こんな時にわざとらしく先輩って言うなよお前なぁ……本当に…こんな時に……っ」

全力で下着まで脱がされて、見られてしまったとなればもう恥ずかしさ以上に相手の理解の浅さの方が気になるこの頃。
布地が悲鳴を上げはしたもののどうにかズボンも下衣も破れる事なくズリ下げられた結果、当然の様に露わになっていたのは人間自身の股間。
これまた当然の様にズボンとパンツなのだから露わになったのは勿論人間の股間であり、竜人とも異なる包皮に包まれた肉棒とその根元にぶら下がっている陰嚢までもが全部露わになる。

「ま……マジで生えてないんすか!?」「見りゃ分かるだろうが!」

そして股座の肉に会陰、竿の根元から陰嚢といった部分に至るまで残さず、一本の剛毛も生えてはいなかったのであった。今現在の竜人とは真逆に。
或いはちょっと前の竜人がそうであった様に。
しかも仄かに興奮しているのか、甘めに竿は勃起してしまっていた。

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