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短篇
上暑-3
「デリケートな場所っすから説明しにくいんすよ!」
「俺には見せて良いってどういう判断だよっ」

どことなく汗臭さの染み付いている布団の上に倒れ込んだ格好のまま、心配そうな表情を浮かべている竜人の顔を真上から見上げる。
時々に目にしていた胸筋や腹筋を覆っている毛並みはさながら絨毯の様に短く丁寧に上体の前面を覆っているのが鮮明に分かる。分かりたくも無いのに。

「だって人間って変な所にしか毛が生えてないじゃないっすか、今の俺みたいに……だから先輩にしか冷静な判断で見てくれる人は居ないんじゃねえかなって」
「見せるにしてもこの近さは嫌だぞ」
「あ、すまねえっす」

別に遠くから見たい訳でも無いのに、と思っていたが、ベッドの上に寝そべった人間を跨ぐ様に立ち上がったのが見えては流石に身体を這いずらせて見上げる形になる。
と、改めて竜人の身体を見ると身体の分厚さや太さと合わさって全身に生やされている毛すらもそのふてぶてしさと逞しさを強調している様に見えており、何とも言えない気分が沸き上がって止まらない。
どっちにしてもこのまま帰る訳にも行かないし、それはそれとして見たくも無いし、だとか思っている間に竜人が自分自身のパンツに手を掛けるのを見てもう腹を決める。いや、腹を決めてどうなるというのか。

「じゃあ見てて下さいっすよ、笑ったりしたら駄目っすからね」
「強行する時点で何にも笑える要素ねえからってああ……うぉぉ……」

基本的には問答無用、仰向けに寝転がされたまま反転した視界の中で竜人がパンツをずり下ろしていくのが目に入る。
鱗の色合いに比べて派手な色合いのパンツであるのも合わさって、本来は獣人や人間とは異なり裸になっても縦割れの中に肉棒が備わっているタイプである、というのは分かっている。
だからこそパンイチであっても動く度に揺れ動いたり震えたりしている様な膨らみは無く股間もすっきりしている印象であったが。

「……うん、確認したからもう良いのかってかもう……俺に見せてどうなるってんだ?」
「変かどうか教えて欲しいっす」「……変かどうかって……そもそも俺も竜人の毛がどう生えてるのかって解んねえし見るのも初めてだから」
「じゃあ人間の生え方と比べてどうなんすかっ!」
「……人間よりは……綺麗に整ってる……のか……?」

新たに生えた胸毛が竜人の胸元に逆三角形を描いているのならば、新たに生えて今見せ付けられたばかりの陰毛は股座の肉に逆三角形を描いている様に見える。
腹筋を縦断する腹周りの毛並みと仄かに繋がっている様に、本来は無毛であったとは散々に見せ付けられていた股間の毛並みを赤色の逆三角形に取り付けられた様な。
おまけに一般的な人間や、或いは毛足の長い一部の獣人種の様に伸びている分もじゃもじゃと縮れている様子は今の所見えない。

その癖に密度に関しては灰色も鱗に覆われていない部分も見えないぐらいにみっしりとした密度だって備わっている始末。
珍しい竜人の中でもさらに希少種であるらしい鬣に髭、長毛を生やした竜人等と比べても、全身に生やされた毛は特に整っている様に見えていた。
人間からして見たら。

「マジっすか!じゃあ参考にしたいっすから先輩のも見せて欲しいっす!」「やだよ」
「……えっ!?」「何で良いって思えたんだよお前なぁ……」
「だ、だって俺……見せたじゃないっすか!」「お前に見せられたんだよ」

何故に動転しているのかも分からないが、見たし見せられたしそれ以上何を望めばいいと言うのだろうか。
改めて身体を起こして帰ろうとした矢先に、がっちりと両肩を掴まれる。裸のまま此方に覆い被さる様な前傾姿勢は、見覚えのある顔だとしても酷く怖い。

「そんなの……割に合わないっす!」「勝手に見せたんだろうがっ」

言い終わるよりも先に、呆気なく人間が纏っていた衣服は引き裂かれてしまった。

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あきゅろす。
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