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短篇
装いの8
精液と包帯によって彩られ、ミイラの仮装をしている蜥蜴人の衣装の一つ、または性的なおもちゃとしても扱われている様な人間が、既に死んでいる身。
蜥蜴人も心底驚いた様な表情を浮かべてはいるが、肝心の人間本人がやっと驚いた表情を浮かべているのが分かる。自分が死んでいるのだと知らされたのだ。

「死んでる、だぁ?誰がどう見ても生きてるんだろうし、俺のチンポを今すぐ咥えたくなったりしてるだろうが」
「違和感に気が付かないんですか?よく見て下さいよ、彼はそこまでいやらしく扱われている割に匂いもしませんし汗だって一滴も掻いてないでしょう……恐らく体温も低い」
「んーと……俺のザーメンが熱々なせいか良く分かんねえ」
「……死んでるんですよね、確認なんですが」「っふ、おぐっっ!?わ、分かってるんだよぉ……お前が死んだんだって……この、ハロウィンの夜が過ぎてからぁっ!」

カボチャ頭に犯されていながらも、間違いなく人間は死んでいるのだと肉棒から先走りを撒き散らしながらも必死で答えている。
結局定かでは無い上に仮に死んでいたとしても知人の方った言葉が大嘘であったとしても、蜥蜴人に括られて肉槍に貫かれそうになっている現状は変わりはしないが。
言葉の通りに人間の頭の中で違和感を思い出していく。この店の中に訪れた道のり。少し前まで纏っていた筈の衣服がやたらと劣化していた理由。
身体の熱も無ければ今までずっと嬲られている実感さえも薄かった。蜥蜴人の肉竿を舐め上げ、雄の風味と精気を取り込んで、やっと意識が元に戻った様な気分。

「……僕……本当に、死んでるんですか……?じゃあ……何で、これは、ここに……」
「私が導いたのですよ……電話を最初に掛けたのは貴方ですから……」
「っだ……っぉぉぅっ……た、試しに、聞いたんだよおっ……もう、お前の葬式も終わったのに、四十九日を越しても変な現象が起こってるんだって、っっ!」
「……てっきりお仲間がもう一人増やせるかと思ったけど、もう増えていたなんてビックリだね……」

モノクルを掛けている以外は丸裸の兎人が、と言っても太ましい腹に固太りめいた四肢の太さは蜥蜴人のそれとほとんど変わりはしないが。
人間の目の前で知人の竿と玉とを強引に揉みしだいて精液を飛び散らせても微塵も止めずに扱き続けながら、何とも残念そうに言葉を紡いでいる間に潮すらも噴き出していく。
得体の知れない存在、異形の化け物。ハロウィンの仮装に見合った異質な姿をした面々の中に、取り込まれた知人と同じではなく、既に死んでいる人間が一人混ざっている。

「二つだけ言っておきます。貴方が死んだのは間違いありません。そしてこの店のから出られる事も出来ません」
「君の肉体は既に無く、さまよえる魂はランタンの明かりに導かれて此処までやって来たんだぁ……ここだから消えないだけで、外に出たらぱーっと散っちゃうからねぇ」
「……じゃあ、僕……どう、すれば……っひぃんぅっっ!?」

困惑と疑問。これから先とは死後の事であるが、実際に動いているし、何をどうすれば良いのかは何も分かりはしない中。
不意に精液を塗された蜥蜴人の指先が尻孔の中に入り込み、何とも言えない声を溢れ出してしまう。精液と擦れて水音を立てられ、蜥蜴人が満足そうに口を開く。

「肉体を失っちまったんだったら、この場にずっと居れば良いぜ?こうやってケツん中までザーメン塗られるのも気持ちいいだろう?」
「ひゃっ、あひ、っひっぅぅぅぅ!?」「ちゃんと生きてるんだったらあんな事したかったのにねぇ」
「貴方が肉体を失った以上、この場に居続けるには他者からの精気を取り込み続かなければいけません……終わらないハロウィンと交わりに、浸れますか?」

問い掛けられている間にも蜥蜴人の指先は荒っぽくも激しく掻き乱していき、貼り付いた精液から先走りまで尻孔を解す程に。
精液を飲み、蜥蜴人の股座の匂いを嗅いだ時と同じ程の劣情と熱が沸き上がる様な気がする。

「浸れるかどうかじゃなくて、浸らせるんだぜ?ちゃんと気持ち良くしてやっから、残さず受け止めるんだぞ……?」

走る熱気をそこまで生々しくじわえるのも、これが初めての出来事であり。
生きているのしても死んでいるにしても、既に人間の抵抗は失われてしまっていた。

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あきゅろす。
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