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短篇
装うの4
被り物である以上は分かる。口元の動きに連動する造りも出来なくは無いが基本的には不可能。
言葉を発する動きに合わせて鱗を備えた柔らかな肉が動き、その口の奥に伸びる舌先までもが自在にうねっている。仄かに纏った口の唾液もまるで艶めかしいぐらい。
等と思っている間に両肩に載せられた両手によって、試着室の奥へと押しやられてしまった。思った以上に力は強く、包帯の布面積自体も思った以上に少なく思えるものだ。

四肢と身体に適当に巻き付けられているのが目に入り、ミイラと言えるのは顔に巻かれた包帯ぐらいしか存在していない。
後はやたらと分厚く造られている胸筋から腹筋、一見何もぶら下がっていない様に見える股間から何までも剥き出しにしてしまっているのが何となく見える。

「何か……何だか、凄い出来ですよね……んぎゅ」
「まだ勘違いしてやがるのか?ひょっとしたら俺の事を着ぐるみとでも思っているのか?」
「……ん?」

間近で牙を剥いて笑う。頬肉をぎゅっと両掌で挟み込まれると、何とも言えない鱗に包まれていない爬虫類らしい部位の感触を感じ取る事が出来る。
舌先まで確かに唾液で湿っている様子、何であるのかきょとんとしている間に頬肉を揉んでいた両手が頭を撫で回し始め、包帯の色合いから何まで先程手渡されたものだとやっと分かった、が。
時々にちろちろと口元から覗く舌先、試着室の外まで伸びていた尻尾が小さく部屋の隅を擦りながら中まで入り込み、見上げなければならない程の体格を持った身体は天井に頭まで触れそうな程。

「ひょっとしたら本物なんですか……?いや、本物って、何……?」
「やっと分かったのか、それとも分かってねえのか……まあ良いか……ほれ、とっとと服を脱ぎやがれっと」
「うわっ…!」

蜥蜴がにこやかに笑みを浮かべながら人間の身体を抱き上げては、何とも楽し気に服を弄り始めていく。呆気に取られている合間に人間の服は試着室の片隅に置かれた籠、
ではなく、平然とカーテンの向こう側の方へと文字通り投げ捨てられていってしまい、随分と色白でしなやかな身体が晒されていく。
蜥蜴人には存在しない竿と袋、片足を掲げられて尻孔の窄まりまでも平然と晒し出されており、蜥蜴人の屈強さと合わさってその細身が強調される様でもある。

「へへ、中々綺麗な身体してんだなぁ……体温はちょっとばかし低いが、十分人間の身体も綺麗なもんだぜ」
「……あの、このまま僕、ミイラにされるんですか?」
「巻き方にコツだって居るんだよ、良いから俺に任せろって……っへへへ」

何とも怪しくも豪快な笑顔を浮かべながら、蜥蜴人が手に取っていた包帯がやっと人間の身体へとそっと触れる、と言うか股下へと通されていく。
慣れた調子で鼠径部辺りに巻き付けられていき、片足を覆っていくが実際は包帯で覆われた面積よりも太腿の露出している面積の方が圧倒的に多い状態。
二本目の布も同じ様に。ミイラと言うよりは蜥蜴人の今現在の装いを似せたかの様な大胆に露出して竿も何もかもも剥き出しの姿が鏡越しにも露わになって、動く度に竿だって揺れている。

「よし、下半身はこれで良いな」「これでって……あの、見えてますよ?」
「見てえから平気だ。それにこうやれば」「わぁっ」
「こんな風にお前の身体だって簡単に持ち上げられるんだぜ?良いだろ?」

完全に巻き付けて留めているのではなく、布地の片方はまだ蜥蜴人によって握られたまま。
蜥蜴人自身の腕に巻かれていた包帯の端も気が付けば人間の手足やらに絡み付いており、ぐっとした動きに合わせて両足が閉じない恰好で引き寄せられている。

「そんでなあ、そんな恰好で抱き締められてるなぁんてエロい奴は、俺がちゃんと教えてやらねえとな……」
「は、ぁ……」
「……思ったよりも緩い感じだな……まあ、大人しくしてくれるんなら良いんだけどよ、ふへへ……」

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