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短篇
黄昏-3
「こんなに日差しが強いのにわざわざ裸になる奴なんてな……居ないんだよ」
「仕込みを早めにやる日で良かったねえ……この日差しと今日の気温で日が落ちるまで居たなら多分干上がってたんじゃないかな」
「…………」

本当にいたし、本当に全裸だった。お互いの首にはタオルが掛かっており、大きなクーラーボックスやらを数個掛けたりしている以外は既に全裸である。
牛人の方は全身が余す所なく血管の迸った筋肉と青みがかった黒い短毛に包まれて、少し張っている様に見えながらも腹筋だってばきばきに割れているのが見える。
何よりも、どうしても人間が目を離す事が出来ないのは短毛に包まれながらも際立つ筋肉に相応しい様な、立派にぶら下がっている睾丸と包皮に隠れていながらも立派に太い竿。

「基本は酒ばっかだから水とか飲みたいんだったら自販機の方に行っててくれよ……って言いたいんだけどな、おい?聞いてる?」
「刺激が強過ぎるんじゃないかなぁ……それともこの人間が単にすっごいエッチなのかもしれないけれども……」
「……はっ!?いやすいません、本当に居たのかって思ってたんですけど!本当に居たんですね!」
「……やっぱり暑過ぎたのかもね」「どうせここに来る人間なんてそれ目当てなんだろう……暫く楽にしてると良いぞ、今からやるにゃ時間があり過ぎる」

竜人の方は腹肉を中心にもっちりと張り出しているけれども、赤色の鱗に包まれた四肢の太さや尻尾の太さは牛人よりも上であり、容易く大型のクーラーボックスを片手で持てる程の力も持ち合わせている。
短く切り揃えた様子が伺える牛人の陰毛とは違って股間には袋も何もぶら下がってはいない。しかしながらくっきりと縦割れが備わっているのが鱗に覆われていない柔和な部分からも確かに分かる。
見れば見る程に見てしまう、という贅沢な有り様や歩く度に蠢いたり引き締まったりしている尻肉を背後から見ている間に、どうやらあの屋台と建物の管理を行っているのがこの牛人達らしい。

「俺はこっちでバーを一応やってる」「こっちは休憩所だねえ……この辺で日陰になる場所って感じで作ったんだけど、こんな場所だから日に当たってると誰も来ないんだよねえ……どうぞー」
「……はい」

招かれるままに竜人の手によって扉が開いた先には、畳の貼られた休憩所。牛人のやっている屋台のメニューだって頼めば持ち運んでくれるだろうし、竜人の操作によって天井に備え付けられた扇風機が回り始める。
生温い風であったけれども、何も無いよりはましだと感じる。というか十分に暑くてもわもわとした熱気が休憩所内にも根付いている。これは良くないと思っている間に、牛人がプラスチック製のコップを持って来た。
中に満たされているのは水の様に透明であったが、氷の盛られたコップの上にはレモンの薄切りが乗っていた。

「こんなクソ暑い時間に出せる俺の精一杯だ。飲め」
「あっ、あ、ありがとうございます……」
「あと終わったら脱げよ」「は……え、あ、この時に!?」
「それがルールなんだから仕方ないよねえ……僕の方からロッカーの方に預けても良いんだし……」

塩気を含んだレモン水を思わず落としかけてしまいながらも、既に汗ばんだ牛人も竜人も一切言葉を改める必要すら感じてはいないらしい。
入り込むのも許されるが、此処では服を脱ぎ去ってしまうのがルールなのだと。爽やかなレモンの風味に仄かな塩気、既に渇いた衣服を掻き回す扇風機の熱風。

「あ、だ、だったらっお願いしますから……えっと、脱いでも良いんですよね?」
「そりゃあな、今から脱いで身体の動かし方とかを教えてやってもいいんだが」「ゆっくりしてた方が良いよ?この時期にずっと裸で外にいる人間って大変な所が焼けちゃうから」
「……ああ、人間って不思議だな……焼けちまうなんてよ」「…………」

そんな事になるなら楽しめない。大人しくこの場でゆっくりと過ごすしかないと。

「寝てるのが一番だ、どうせ眠れないんだからな」「そうそう、眠ってから脱いでも良いよ、その頃にはみんないるからさ」
「……っい」

まだまだこれからであるのに、煽られる期待に合わさる様に、既に人間の股間は熱を帯びてしまっていた。

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