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短篇
スムース-7
「…………」
「…………っんひぅ」

まだ身体を洗ってもいないのに、といったちょっとした申し訳なさは確かに頭の中に残ってしまっていて。
人間の頭の中の残り全てを埋めるのは何とも言い難い興奮と熱量であり、完全に密着してしまっている狼人の地肌から伝わる滑らかな質感と体温は思ったよりもずっと柔らかく思えた。
完全に人間自身も勃起してしまっているが、流れのままに服が脱がされて泡を洗い流された途端に暖を取る様に身体は抱き締められた上で二人仲良く浴槽へと沈められている。
いつかも分からない記憶の中よりも、きっと今の狼人の方が滑らかで柔らかく、筋肉の張り巡らされた血潮の感触まで全て備わっている。

「……お前の身体、温かい」「それ、って……今お風呂に入っているからじゃないんですよね……あぅっ」
「……お前の身体が、温かい」「……あんまりずっと入ってると、湯冷めしちゃいますからね、それはもう本当に揺るぎないんですから」

既に立派に勃起している人間の竿は温かな湯の中で揺らめいている様に怒張しており、狼人の竿は僅かに血流を通わせたまま人間の尻から腰へと押し付けられている。
何気ない動きだけでも体温は伝わったし、股間が取り分け熱くて湯船の中で貼り付く感触だってより鮮明に伝わっている。
興奮しているのは間違いない、というのは人間だって狼人だって変わらないし、戸惑いの中で落ち着く時間となっているのだろう。
一定以上に萎えないのを感じ取りながら。

「俺みたいなのが、良いのか?」「……違うんだって言いたいんですけど、ね……男相手ってのもまあ何度か、仕方なしに身体を売ったって経験は無い訳じゃないんですけれども」
「……獣人だった、のか?」「そこまでは言いませんけれどもね、貴方の匂いが気になったりしちゃったのも本当なんですが……全部脱いだ姿が、綺麗に見えたのも同じぐらい本当なんですよね」

抱き締められながら少しの間だけ狼人の動きが止まったのが見える。水気を吸って潰れた毛並みというものが存在しない以上は当然太腕がそのまま狼人の腕の太さ。
どれだけ毛並みが存在しない獣人というのは、同じく毛皮を生やした獣人の、或いは同種の狼人達から手酷く扱われてきていた事だろう。
基本的には体格以上に堂々として一人で我が道を切り開いていた人間からしてみれば万分の一にすらも体感出来ないと、その圧力から十二分に理解出来てしまう程の。

「っぐええええっ、ちょ、潰れ、潰れますってっ」「…………」

熱烈な抱擁によって密着する肌も何処までもすべすべとしていて、首元にだって水気を含んだマズルが乗せられる。
既に悪い気だってしなかったのだし、狼人がやっと認めたのか、あらかじめ認めていなければ全身を洗う様な今の行為だって受け入れられなかった筈だったか。

「このままだったら何も湯冷めしちゃいますってあぅっ……っんふ、ぅ……」

流れのままに唇まで奪われながら、その掌は人間の股間に意図的に指先を這わせている。
既に屹立した人間の竿は、肉球付きの柔らかな手際に呆気ない程に先走りを散らして湯船の中に蕩かしていく。良くない事だと分かっているのに、身体の方が止められやしない。
意識の方はより激しく。

「って……んふっ……ちゃんと水気を切らないと、もう全部湯冷めしちゃいますからねっ」
「……分かっ、た……気を付ける……」

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あきゅろす。
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