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短篇
スムース-6
顔を隠していない狼人を向き合って目にするのは、当然ながらこれが初めてである筈である。
体毛も鱗も、人間の様な産毛すら何も存在していない顔立ちは一際マズルと両耳が長くぬるりとした印象を備えて、顔立ち自体は細く、貧相にさえ見えていたが。

「……」
「くぅん……ぬく……」

頭よりも先に身体の方に手を付けて、分厚い胸板の張り出して浮かび上がった血管に、胸元に備わっている乳首も綺麗に淡い桃色を浮かべているのが分かる。
流石にいきなり刺激する訳にも、といった調子と気分のままに、背中と同じく頑強で分厚い胸元にスポンジを這わせていくと度々狼人が鼻を鳴らして目を細める様子が見えた。
腕の太さにぎっちりと割れている腹筋まで余さず凹凸が際立ってスポンジ越しにも、泡を纏わせる為に掌を滑らせるだけでも漲り詰まった筋線維と血管の感触さえも分かっている。
筋肉を描くには毛皮の方が要らないのではないか、と思ってしまう程にはその身体は仕上がっていたし、
泡をもこもこと纏わせる程に顔立ちは一層面長に見えて愉快、とすら思えはしなかった。

「んうぐ、っふ、っふぁ、っふ」
「あっ、大丈夫ですよね……うん、背中の時も大丈夫だって言ったんですもんね……」

既に狼人からの了解と言うよりは、人間側が自分の行為に自分自身を納得させる為の様な言葉を呟いてしまっている。
腹筋から脇腹といった箇所に一通りスポンジを這わせ終えて、毛皮代わりの泡がたっぷりと纏ったボリュームを携えているのは間違いない。
となれば続いては下半身。既に人間の身体が悠々と腰掛けられそうな程に太く張り出した太腿といった姿はこれ以上無い程に鮮明で、血管まで透き通って見えるのは間違いなく。
当然ながら両方の腿、鼠径部、腹筋の中央辺りには臍だって存在しているし、狼人が男である以上は人間と同じ様にこれ以上無い程立派な股間だって存在していた訳である。

生唾を飲み込むにしても変に気取られてしまっては、いつの間にか口の中に溜まっていた生唾を飲み込む訳にも行かない。
本来ならば狼人の様な獣人は人間の様に包皮に包まれた外性器ではなく肉鞘に包まれた何かしら云々、そう思っていたのであったが彼の場合は人間とさほど変わらない性器がきっちりとぶら下がっていた。

「……あの、その、えっとこっちもって言うか、中々この辺だってあんまり自分一人だったら洗いにくいんじゃないかってのは古くからも言われていた訳でした」
「ああ……構わない、が……」

まだ肌寒さを感じ取っているかの様に綺麗に縮み上がっている玉袋さえも人間の片手では持ち上げられないぐらいにずっしりとした丸みと重量感を帯びているのが分かった。
そこだけ生い茂っているといった事も一切なく、狼人からの了承も得てから陰毛の一本さえも生やされてはいない張り詰めた股間を、そして堂々と人間の前にも威圧するかの如き存在感を示している竿へと泡を纏わせていく。

「…………」
「……っんっっぐ……ああ、失礼」

口の端から溢れ出そうになるぐらいの涎が溜まり続けた挙句、音と声すらも露骨に立てて飲み込みながら、小さく聞こえる声色をなるべく気にせずに竿を擦って行く。
血流が通い詰めていない垂れ下がっている状態であっても人間のそれよりも、指を揃えた太さよりも太いだろう。獣人の名残の様に亀頭は尖りを帯びているし、頂点に備わった鈴口さえ一段と巨大に見えている。
そんな姿に泡を纏わせていくごとに血流の通い詰める様子に細やかに蠢いている姿が鮮明に見えてしまって。縮こまっている分熱を保ったそれは掌の中で確かな熱を纏っていた。

「……どう、っして」
「え、えっ?いや大丈夫ですよ、ちゃんと気遣ってるっていうか本当に変に悪い気とか何もしないっていうかはぁっ」
「……お前も、興奮しているんだ……?」

戸惑いと合わせながらの指摘に、やっとそこで人間自身も気が付いてしまった。
ズボンを突き破らんとしている訳ではないが、立派に屹立してテントを張っているばかりか、繊維の内側に湯気や飛沫ではない理由で染みを浮かび上がらせた自分自身に。

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