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短篇
チョ-10
酷い事になっていた。尻孔をシャワーで洗い流すだけでも音を立てて自分の奥底から精液がひり出されていく。
自分一人だけで大丈夫ですからお願いしますから、と言い切ったが、全身の力が抜け出るくらいに体力が消耗してしまっている。思った以上に体力を消耗していたのは兎人だけではないもので、

「やっぱり時間掛かってんだな、手伝うぜ」
「あっ、ひゅあぁっ」

時間を掛け過ぎたのか呆気なく全裸の、既に竿は収まっているものの雄の匂いと精液の染みを股間に張り付けた兎人が突っ込んで、蹲っている人間の尻を撫で回す。
思ったより数倍情けない声が溢れ出てしまったのを他所に指先は解れた尻孔に突っ込まれ、残さず精液が掻き出されるまで刺激は続いてしまい、やっと残さず掻き出し終えた頃には互いの竿も再び勃ち上がっていて。
兎人がぐっと堪えながらどうにか、本当にどうにか抑え、ぬるま湯で全身を洗い流して、気が付けば二人ともバスローブを纏った姿で一段落。
犯した側と犯された側、褌をチョコレートに替えられた側と替えた側として二人向き合う形となる。

「……せ、責任……ああ、ええっ……責任取って下さいよっ……この通りちゃんとやってるんですからっっ……!」
「あぁん?ちょっと申し訳ねえと思っちゃいたが、そっちから切り出すんだったら俺も気ぃ悪くすんぞっ」

一段落済んで、後は乱れっぷりの分かるベッドの横で立っている状態。威圧する兎人に負けない様に、人間が突き出したのは彼自身のスマホである。
胸ポケットにこっそりと仕込んで録画されていたもの。既に映像は再生されており、広場で装置を起動させた時から兎人に詰め寄られるまでの光景が余さず映し出されている。
その次にはおもむろに褌がチョコレートにすげ替わった光景、トイレに連れ込まれてから舐め取らせた時の様子。

「こ、これは間違いなく証拠になりますよっ…そ、そうしたら貴方も……貴方も終わりです、ねっ……!」
「……お前が褌をチョコレートに替えた時の格好も見えてんじゃねえかよ、おいっ」
「だ、ど、どこの誰がそんな装置があるんだって信じるんですかぁっ!僕が作ったのはあくまでチョコレートを褌に替える装置なんですからねぇっ!」

もしもバレてしまったならばまずい事になるんじゃないかと冷静だった時に思いもしたが、それでも人間自身の自己顕示欲があったからこそ。
自分自身の発明品の功績を示す為に用意したスマホの録画であったけれども、今回においては兎人に襲われた事の証明になるとは思いもしなかったし、褌がチョコレートに替わったのはまた別問題。
例え偶然であったとしても、偶然に何かしらの電波とかなんとかの影響で褌がチョコレートに替わったのだ、と言い張る所存である。
多少の本末転倒を他所に置いたとしても兎人が襲った側で人間が襲われた側であるのは今更変わりようが無い。自然とリピート再生されている動画を見て、険しい表情を浮かべていると。

「……いや、待て……」「っど、どうしました?今なら土下座と免許見せるとかで、許しても別に良いんですけど……」
「俺と同じタイミングでちょっと動いた奴いねえ?」「っえっ」
「ほらここだよ……何かのスポーツの団体か……丸めた道着持ってるから、空手かそれとも柔道か……」「……え」

完全に浮ついていたのもバレンタインだとか抜かす祝日の魔力であるものかもしれない。日頃からずっと甘ったるい黒塊の事を思っていた人間の事と違って。
一部の面々からしてみればこの日はチョコレートに関係する日ではなく褌に纏わる日でもあるのだ。びくん、と数人の集まりが震える。兎人に詰め寄られている間に何か話をしている。
ぎろり、と。兎人並みに大柄な龍人が、画面の端で人間を見据える様子まで動画で捉えていて。
試しに窓の外を眺めてみたら、それっぽい道着の面々が既にホテルの入り口前に控えていた訳でもある。

「…………た」「た?」
「……助けて下さい…」「いや、俺もどうすりゃいいんだよ本当なぁ……」

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あきゅろす。
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