[携帯モード] [URL送信]

短篇
チョ-5
甘さとほろ苦さとコクの深さが入り混じっているチョコレートの味わいに、異なる風味が複数種類混ざってしまっている現状。漂って来る雄の匂い、股間の蒸れた汗の風味。
全てが人間の舌先の上で時々に溢れる真っ白い毛並みと共に弾けて存在感を主張してくる感覚。鼻先から呼吸に伝わる匂いに関しては、既にそんな雄臭さの方が強まってしまっていた。

「おぉぉぅっ……いや、だからケツの穴までにゃついてねえからなっ……だからそこばっかり、っつって……っふはうぅっ」
「んぶ……や、だ、だって、ぇっ……!」「っちょ、待っ、変な気持ちになっちゃうだろうが……俺をこんなに興奮させてどうなるってんだよ、おいよぉっ」

既に兎人側にしても何をしたいのかは分からないかもしれないが、チョコレートを可能な限り残さず舐め取らなければならないというのは変わらない。
股間に顔を埋める形になるとは知っていたけれど、更に玉袋の裏から完全に身体が影に隠れ、文字通り封殺されそうな程の距離を保っている。
声を荒げようとしながらもきっと興奮は保っている様に人間の顔に触れ合ったままの玉袋はびくびくと動いて縮み上がり、引き締まった尻肉と薄暗い中で猛烈な匂いが何処までも人間の顔にこびり付く。
純粋なチョコレートの味わい等もうどこにもなく、舌先を滑らせ続ける程にじわりとした匂いが止まらない。いつの間にか人間だって自分のズボンを濡らす程には、興奮してしまっていた。

「っふぅぅ……っあぁ……もう、今度はこっち、こっちだぞ……」
「んぶぅぅ……っ……」

あくまでこびり付いた分を舐め取る分だから、と頭の中で言い聞かせながらも、更に向きを変えた兎人の尻肉が人間の顔を塞ぐ様に埋める。
丸みを帯びた尻尾が鼻先にふわふわと触れている感触の柔らかさに反して、思った以上に尻肉は堅く引き締まっているのが肌で感じ、背面でどんな形で紐が括られていたのかもチョコレートの痕跡で分かっている。
雄臭さは辛うじて薄れたが、だからといって尻肉にそのまま舌を滑らせるという行為は甘ったるい印象を疼かせる、かもしれない。
股座の間にどれだけのチョコレートが残っているのか、尻孔からどうにか離れられたので舌遣いは少しばかり大胆になっていく。

時々に甘い声を上げる兎人に、ふわふわに見えてくすぐったさに合わせてきゅっと尻肉が引き締まっているのが感じ取れる。口の中一杯に体毛がくっつくのを感じながら、どうにか褌の紐が描いていたであろうラインを舌先で消す事が出来た。

「ふぅっ、ふぁぁ……の、っ……お、終わり、ました……っんぶぇっ……」

唾液で汚れてしまっている分コレで良かったのだろうかとちょっとばかり思いながら、やっと人間の口から唾液と薄くチョコレートの混ざった毛の塊が吐き出される。
思った以上の量が便器の封水に吐き出されたのを見て驚き、視線を元に戻してみると多少茶色く汚れているぐらいで多分大半のチョコレートは舐め落とす事が出来た、筈だ。
違った意味合いで誤解される事はあるかもしれないが。ハンカチはどうにか削り取った地チョコレートを包むのに使ったからどうしようかと思っている合間に、兎人が身体を反転させて再度人間に正面を向ける。

「え……っ……?」

どんな表情を浮かべていたのかよりも先に、人間の眼前に差し出された竿は完全に屹立していて、振り向いた際に先端から漏れ出る先走りを顔にまで浴びせてすらいる。
血管はより太く、玉袋は一層びくびくと蠢き、そして兎人だって息遣いを荒げながら熱の籠った視線で人間を見据えてしまっている。
何か様子がおかしいな、と既に大分おかしいのに気が付いた時には、再度人間の頭はがっちりと兎人に掴み掛かられていた訳で。

「思ったよりも興奮しちまって、もう収まらねえんだよなあ急で悪いんだがなっ……完全に舐め切れてねえのはまあ仕方ねえ、仕方ねえが……どうにかするぞとにかくなっ」
「え、え、ええぇーっ!!?」

幾らかのチョコレートが付着して居たズボンを履くのではなく腰に巻き付けて股間を隠し、気が付けば人間の身体は再度持ち上げられている。
片手で持ち上げたのかと気付いた時には、露骨にあやしい視線が迫りながら、人間の身体は再度連れ去られていった。
煌びやか過ぎて眩しいホテルの立ち並ぶ方へ。

[*前へ][次へ#]

5/12ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!