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短篇
チョ-4
味も素っ気も無い様な安物のチョコレートといった物ではなく、程よく甘く苦い味わいを残して蕩け、歯を使う事無く舌の上に味わいと香りを同時に伝えていく。
どうしてこれだけ上等な味わいのチョコレートへと変わったのだろう。不味いよりはましだと言い聞かせようとして、

「っっっ……てめえ、まずはチョコレートから舐めねえとなあ……垂れちまったんなら舐めさせるからな床、床をな……ちょっとなら許すっ」
「むっぶ…は、はいっ……ご、ごめんなさい、ぃ……」
「いやあ気持ちいいんだけどなあ……これで下手くそだったらもうちょっと厳しかったんだけどなあ、いやあ……舐めろよちゃんとなあっ」

舌先でこそげ取って行く内にチョコレートが消えて、兎人本体の毛並みが露わになっていく。
時々に舌先と口の中に溜まっていく白毛をトイレの中に吐き捨てながらも完全に真っ白になるという訳ではなく、少しだけ茶色が残っているのは仕方ない。
試しに聞いてみたならば食べ物ではないから食べなくても良いと返って来た。食べ物であったならば残さず、なるべく残さず食いきれと言っている様に。

当然舐め上げているのは股間であり、股間で男子用のトイレを使っているとなればそこにあるのは立派な兎人自身の雄。
ほんの少しばかりチョコレートの色合いが残っている体毛に包まれている部分とは異なり、竿から舐め上げられる度に迸る血管一本一本の太さが、肉色をした竿と張り詰めた亀頭が余さず見えてしまっている。
完全に肉鞘に包まれても居ないが、包皮は竿の中程までしか存在していない。雁首が張り出しているのに先端は尖っている、人らしくもあり獣らしくもある悍ましい形状。
どうしても気になってしまうのもあり、舌先で擽って行く内に竿の赤黒さが鮮明に見える程には昂らせてしまっていた。

「っふ……あ、あの……何でこの状況でこんなんなっちゃってるんですかぁ……」
「皆まで言わせるなって……俺だってこんな状況もう何も分かんねえんだからなっ……ほら、ちゃんと舐めやがれ……ほらなぁ……!」
「んふぁ、ちょ、ちょっとっふ、ぶ…ぅ……っっ……!」

そこまで恥ずかしい気持ちになっても勿体ないという精神を優先しているのだろうかといった考えすら薄れていってしまいそうなくらいの、色濃く熱い雄の風味が溢れて来る。
褌が股間の前側だけを隠している様なものだったらあまりに攻め過ぎているし、そんな造りの褌があるのもまた知ってはいるが。不幸な事に兎人の纏っていたらしい褌はきっちりと尻を引き締めるものであり。
竿と股間だけではなく会陰、または蟻の戸渡りとも呼ぶべき蒸れた風味が一層際立つ場所にもきっちりくっちりべっとりこってりとへばりついて、蒸れた雄の風味と合わさっている強烈な匂いを人間に浴びせていた。

「俺だって恥ずかしさとか無い訳じゃあないんだからさっさと済ませねえとっ…んっふぅぅ…だから早く、舐め、やがれっ」
「っんっぐ、く……ふはぅぅぅっ……!」

眼鏡が曇る程の間近に兎人の竿と、その股間にだらりとぶら下がっていた巨大な竿によって視界が塞がれてしまっている。
強烈な雄の臭気に包み込まれながら雄が顔の上に乗せられ、裏筋をたっぷりと押し付けられた顔には甘い匂い以上に雄臭さが感じ取れてしまうではないか。
同じく漂って来ているのはチョコレートの香りであり、勿論股間に貼り付いたままであり、だからこそどうにかしろと言っているのだ。先程と同じく人間の口と舌を持って。

「わ、かり、まひっお、おう……んっぐ、うぅっ……!」

見えない舌先を伸ばせば、何度も味わった短めの毛並みの中にチョコレートが乗っている感覚に加えて、舌先が独特の風味を探り当ててしまうのが分かる。
チョコレートだけを引き剥がす様に舐め取れば、直接触れる事は無いのだと理論上では分かっているのであったが。チョコレートを褌にする装置を、褌をチョコレートにしてしまう装置に仕立ててしまった不器用で器用な人間の事。

「んぉぉっ!?そこ、っ」「ふは、ぅぅっ……!」

幾らか舌先に掠めた感触に涙目を浮かべながら、人間は自分自身の股間も張り詰めている事にはまだ気付きはしなかった。

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あきゅろす。
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