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短篇
三の10
その時からどんな表情を浮かべていて、どんな返事を返したのかもすっかり意識の外に弾き飛ばされてしまった様な。
がくがくと腰を揺らしながら目の前に際立ってゴム風船を作り上げられる光景だけはすっかり抜けていて、頭の中に残っているのは三種類の男根と精液の奔流。
真っ黒く視界の一部が切り取られているのではなくそれだけ間近に漆黒の毛皮が迫って来ていた事の証明であり、所々浮かぶ赤色は獣型の竿も同じくらい間近だった。

「…………う」

目が覚めて口と鼻を塞ぎ止めていたかと思われる程の濃厚な雄の匂いと、記憶の中で浮かぶ真っ黒と温度に包まれていた状態で目を覚ます。
動く度にいつの間にか全身にぶちまけられていた精液とローションがねちゃねちゃと糸すら引きそうな勢いで擦れており、辺りから聞こえる呼吸音にずっと組み付かれていたのだという事にも気が付く。

「う、っ、んぅぅぅっ……!」

起きようとしたのか彼等の拘束から逃れようとしたのかも分からないが、ともかく動く為に下っ腹に力を入れた途端に腸内に残っていた精液の残滓がごぼりと生々しい音を立ててこぼれていく。
その感覚に昨晩の、時間的な感覚からしたら朝を迎えても続いていたのかもしれない快感を全身が思い出した様に大きく震え上がり、シーツの滑りと合わさってそのままベッドへと再び崩れ落ちる。
甘く痺れる感覚に肉棒に再度力が入り始めてるけれどもそれ以上は勃起せず、精力も何もかもも残さず搾り取られて、その分かそれ以上か注ぎ込まれたといった具合だろう。
時間が経った雄の臭気は酷く香って意識が鎮まる訳も無く、悶々とした時間を自分の彼氏であった筈の相手が、相手達三人が目覚めるまで味わわなければならなくなった。

「「「やり過ぎて本っっっ当に申し訳ないっっ!!」」」
「っ……うるさっ……」「「「あっ!申し訳ない!!!」」」

数時間振りに見せたのは、三人同時にベッドの下に降りた上での土下座だった。先日までは真っ黒い絨毯の様な空間が広がっていたのだが、今回の場合はばらつきがある。
何をどうしたのか精液の残滓が身について精液が白い斑模様を描き、背中にまで帯びた滑りによって色濃さを増した光沢を帯び、残っている毛皮には人間の手と足の跡がくっきりと残っていた。
三人分の威勢のいい叫びに思わず耳を塞ぎたくなる状態の中で、身体に刻み込まれた痺れから何となく分かるけれども。

「ちょっと昨日の君がちょっとあの、魅力的過ぎに見えてだな」「水分補給も済ませてるからってもっともっとって言うもんだから」
「……思いっきりやっちゃってね、気が付いたら僕達全員でやり過ぎちゃったのかなーって……」

丸々と精液に肥え太ったコンドームの個数は十数個を越えてベッドの上どころか床にも転がっており、大量の精液を含んだシーツも完全にぬかるんでいる。
人間の下っ腹に力を加えれば加える程に精液は止まらず、結局は避妊具を使い果たした後でも散々に嬲られ犯され抜いたという事の実証にもなってるのだろう。
上手い具合に腰に力も入らない訳だ。それだけ酷使され続けていたのだろうから。

「……まあ、その。目的は達成出来たんだから……後はもう、後始末だけやってくれたらいいよ」
「「「……えっ!!?」」」
「ゆ、許してくれるのか!」「嫌ってくれないのか!?」「ほ、本当に良いのっ!?」

頭を上げるタイミングも完全に同一で、胸元にも付着している汚れと白濁やらから三人が同時に、完全に同時に自分と身体を重ねたのが分かっているとなると。
三人だと知らされたのがほんの昨日であったとしても、人間自身の事を大事に大事に扱われているというのはもう散々に刻み込まれたとなると。

「……そういう事になるのか「「「ありがとぉぉぉっっ!!」」」

再びもみくちゃにされながら、牙を見せて笑って来た三人達に抱き締められるのも結局満更でもないのだと。
そう思ってしまえるのが計算であろうがなかろうが、どっちにしても素敵な気がするのがと。
顔どころか上半身を舐め回されながら、ほんの少しの反省と包み込まれる喜びを抱く訳であった。

【終】

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