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短篇
三の2
最初の出会いの時点では、当然ながら人間と出会ったのは犬獣人の中の一人であった。それから付き合い始めた時には、彼等は三人になっていたのだと土下座した状態を保ちながら話してくれる。
それ程に人間の姿が魅力的であり、三つ子であるらしい彼等が本当に好みになって仕方なかった見た目であり、故に一人ではなく三人全員でのシェアを行っていて今に至るらしい。

「あれ?その割には話が噛み合わなかった事も無かった様な……」
「だって君は思ったよりも奥手だからな」「基本はこっちが行きたい所ややりたい事を優先してくれて」「そういう奥ゆかしさとかも本当にさ……」
「…………」

もうちょっとだけ我を出していたならばこんな事にならなかったのかもしれないが、互いの情報を共有し合っていた事でぼろを出さない様に務めていたのも今までバレなかった理由の一つだろう。
実際に出会って人間との時間を過ごして楽しみ、そんな楽しかった話を聞いても尚の事楽しい。それだけ全員が人間に対して惹かれていた事は実際に嬉しくはあるが、それならどうしてこんな事になったのか。
理由としては人間と犬獣人が、いよいよもって身体を重ねようとする所まで関係が深まった事に起因する。

「何だかんだでな、キスだって味わったしハグとかはそれ以上だ。お互いのチンポの大きさだって知ってる」
「俺のも」「勿論僕のだって見せた覚えがあるし、君の股間だって僕達全員が知ってる」
「……それはそれでなんだかなあ」

だがしかし、身体を重ねるとなると話は別だ。抱いた者とまだ抱かれていない者とで分かれてしまうし、三人が互いに果たそうとしたならば人間の身体の方が持たないかもしれない。
自分自身の屈強さというものを何より犬獣人達は理解してたし、単純計算に考えれば人間側の精力に比べて三倍かそれ以上付き合わせて突き回すのは流石に人間には辛い。
だけど断れないし誰だって抱きたい。抱いてしまいたいけれども抱いてない他の二人が辛くて堪らない。

「「「そんな話になってから、だったら全員で抱くついでに今の状態を明かしてしまおうってなったんだ」」」
「……こっちに対する気遣いでこうなったにしてもね……いや、うん……」
「「「君を思う気持ちだって本当なんだっ!」」」

しょげた表情を浮かべていながらも確かに決意の籠った瞳に涙さえじわりと浮かび上がっているぐらいには本気であるのだと理解出来る。
やっと尻尾は元に戻ったけれども、本気の想いも伝わってくれている。こういった顔を浮かべている時は一切の嘘偽りなく悲しいのだと人間にだって感じ取れる。
既にそれ程の仲であり、犬獣人達の言葉を信じるのならば人間だって三人分の肉体と股間とをそれぞれ見覚えがあるぐらいの関係であるのだから。
あるのだけれど。

「……これからこっちが、君達三人に抱かれる訳だよね?」「「「そのつもりだ!」」」
「全員同時に?」「「「優しくするから!」」」「……大丈夫?」「「「優しくするから!」」」

何かしらの合図をしている様にも見えないのに、ぴったりと言葉が合致するのは少しだけ愉快である様に思える。
それだけきっと人間の事が大事で、同じ程に三人の犬獣人はお互いが大事であるのだろう。驚きではあるけれども、そう言えばこの日に抱かれる予定であった。
大分話が拗れているけれども、思い返せばじんわりした興奮が高まって来ていて、そして犬人側のしょげた顔に人間は酷く弱かった。

「……そこまで言う、な「よっしゃ分かったありがとう!」「優しくするから!」「本当によろしくね!」

故に毎回忘れるのだ。悲しそうな顔から笑顔に変わった時には、一段と遠慮の無い動きをかますのだと。

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あきゅろす。
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