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短篇
霊-7
「おいおい、変な癖でも付いてるのかよ……やめとけ、お前の歯の方が持たねえぞ」
「ぐぅぅ……っ、ああ、そうなんだ……その筈、なんだが……」

獣人の身体、特に首元は鬣や獣だった頃の名残として食い千切られない様に弛みを備えている獣人が珍しくない。
おまけに目の詰まった体毛はそれこそ一部の獣人並みの歯列が揃っていなければ歯の方が持っていかれる可能性すら有り得る。気遣いと言葉、今更性欲を止められない興奮。
腰を押し進める程に人間らしい柔らかな腸壁の襞肉がぎゅっと狼人の竿を締め上げて来るのを感じて、距離が狭まる程にぐっと締め付けも強まっている。

歯列の食い込みは不思議な程にそれ以上に高まってしまっており、息苦しさを感じていた矢先に、ぶちり、と音を立てたのが狼人にも分かった。
そこから溢れ始める鮮血の香りは、狼人よりも早く獅子人の方が理解した。

「ぐる……ぐぅぅぅぅぅ……!」「っな……何だ、これ、何だよ、おぉっ……!」
「おいおいっ……どうするんだよ、引き剥がすか?」

緩やかな動きで根元近くに出来上がった瘤の際にまで、少なくとも半分以上挿入してから、緩慢な動きで腰を揺らし始める。
元からこうなるのは分かっていたが、分かっていたがそれ以上に気掛かりなのは狼人の首元からじわじわと流れて銀色の毛並みを赤く染め始める程の流血と。
人間以上の代物によって今まさに犯され始めているのに、首筋に食らいついた顔はくぐもった吐息を溢れさせながら微塵も離れる様子すら見せてくれないどころか。
じゅるじゅる、と空気ごと啜り取っている様な音すらも響いているのである。犯されているというのにその目は異様なぎらつきを見せてすらいて、喉までも忙しなく動いている。
飲んでいるのだ。現在進行形で犯されながら、狼人の血液を。

「あぁぁ……だい、大丈夫なんだ……痛みも何にもないが、代わりに……凄まじく、気持ちが、良い…っっお、おぉぉぉおっっ……!」
「どう見ても大丈夫には見えねえぞっ」
「あぁ、気持ちいい、中も俺も気持ち良いっ……っうぉ、ぉおぉぉっっ」

狼人の目付きさえも普段興奮しているようなものとはかけ離れたものへと変化しているとは、獅子人からしたら余裕で分かるもの。
二匹分の雄の色香に負けない程の鮮烈な血の香りが溢れ出しているし、首筋から流れ落ちる血が毛皮を赤く染めて、動きに合わせて腕から胸元にまでも血が下って来ているのに。
何故か狼人は少しも痛みを感じていない様に、腰使いは荒々しさを増し、ぶちぶち、と首元から音すら立て、それ以上に血を啜り貪る音の方が強まっていた。

荒い吐息に腰使いも次第に極まって来ており、先走りと腸液の混ざり合った粘液と涎と血の混ざり合った飛沫が身体から溢れて止まらなくなっている、という何とも奇妙な状態が続く。
色々な疑問が頭の中に高まり、狼人が気持ち良さそうにしているならば問題無いかもしれないという楽観的な考えと、汗を全身に纏わせながら確かに血を貪っている人間が、
この世の物とは思えない程に煌びやかに輝いて見えていた。

「はぐ、おお、おっ、おぉぉぉぉ……!!?」

やがて人間の尻肉にぼっこりと膨れ上がった肉瘤が拳大かそれ以上に膨張し、絶頂に達してしまったのが分かるもの。
中途半端にしか挿入されていなかった結合部にもぶびゅぶびゅ、と音を立てて中に注ぎ込まれていく生々しい音と合わせ、少し間を置いて塊状の精液が逆流して零れ落ちて行った。

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