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短篇
獅子百-8
「ぎあ、あっ……ふぅ、ふ……ぐ……うぅぅぅぅっ!?」
「っはっ……ぐっふ、ふぅぅっ……すっげえ、止まらない、まだまだ、止まらないんだからなぁっ……!」

浅く肩口に噛み付かれて、鬱血した歯形がくっきりと残る。そんな傷痕は背中に、尻肉に、二の腕にいくつも出来上がっている。
猫科獣人らしい交わりの際の癖かどうかと言えば半々であると答えるのだろう。咄嗟に牙をかぶり付かせようとも、なるべく気遣った甘噛み、牙で皮膚を突き破ってしまわない様に力を調整しているが。
それでも牙が突き立てられる感触は人間に対して伝わっている。ぶつり、ごく浅い箇所での皮膚が突き破られて充血し、血の匂いが溢れる寸前で押しとどめて、腰を動かしての射精に勤める事しか出来ない。

「ぐっおぉぉうっ……っふ、ふはぁっ!本当に、良いぞっ、これは…止まらな、いなぁっ!」

時々溢れる言葉は何処までも満足そうな溌溂とした表情を浮かべていきながら、正常位で組み敷いていた人間の身体は既に下腹部が水風船の様に膨れ上がっている。
十数発分の精液によって掻き出され定期、それ以上の量の精液が流動的に注ぎ込まれていき、そしてごぼごぼと溢れ出す量より注ぎ入れられる量の精液が多いのだから当然胎は膨れっぱなしだ。
本気で壊れてもおかしくない快楽が叩き付けられながら意識すら朦朧としている様に視線が定まらず、真っ赤に染め上げられた顔を浮かべながらがくがくと顔が揺れる。
それでも竿はびくり、と血管を迸らせ、既に数滴しか濁った白濁が出て来ないが絶頂に達しているのだとは十分に分かってしまっている。これで二十発か、三十発を越したのかさえも明確ではない。

迂闊に雑念が入ってしまったならばそのまま人間の肉だけでなく血までも吸い尽くされるという確信に近しい予想が頭の中に浮かんで来たから。
執拗に首筋を舐め上げている間にも、血の匂いも味も漂って来ない。それでも不穏な意識のままにどろどろの精液塗れになった人間へと、いよいよコンドームではカバーしきれなくなった射精が惜しみなく人間注ぎ込まれていく。

「が……ぉ……ふ……」
「おほぉぅ……ふぅっ……さて、そろそろ休むかい?」

そして五十発の精液が吐き出されるまで、ずっとその情事は続いていた。ベッドの上には白濁の海が出来上がっていた様で、毛皮にへばりついているのと同じく人間の身体は真っ白に染め上げられ、やっと意識を失ったらしい。
痙攣すらも弱いもので、竿は勃起しながらも完全に屹立していない程度には酷使されている。精液の中にも使い込まれて充血してしまった尻孔がふるふると充血して開きっぱなしになっているまま呼吸の度に精液が塊になって零れ落ちる。

「あ……」「シャワーならばあるが食糧も無いものだなあ……よし、これからはずっと、私のザーメンを食べながら生きていくしかないみたいだね」
「…………」

何を言っているのかは分からない程に意識が落ち込み、やっと解放されたのだと、少なくともこの一日はこれで終わりなのだと本能で察しながら、ぐじゅ、と音を立てて触れる毛皮に大人しく頭を預けた。
後は意識を容易く落とし、最初から最後まで雄臭に塗れた姿のまま、ほんの前日までには普通に過ごしていた筈の人間の身体は、身体も精神にも精液が焼き付く様に仕立て上げられてしまっていた。

「……やあ、おはようっ」「むぐぅっ」

翌日から、余った分の精液を吐き出す時間が始まった。当然ながら部屋の中にはカメラが仕込まれ、何処までも逃げられない中、また一日が始まる。
今日も朝に人間自身が目を覚ます前に、大雑把に清められた肉棒が人間の口内に捻じ込まれた弾みで目を覚まし、その次には恍惚とした表情を浮かべながらしゃぶりつき始めた。

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