短篇
獅子百-7
最初から惜しまずにコンドームを使っていれば、一滴たりとも零れ出す事の無い量と回数だった。
ほんの四分の一程度であったが、途中で行為を中断してでも止めておいたならば少しは違っていたのかもしれないが。最初に受け入れてしまった時点で、または最初からこの話を聞いてしまった時点で。
その時点で素質があったという事かもしれず、現に今の人間は結構幸福そうな表情をその顔に浮かべていたのだから。
他でもない、獅子人の股間に顔を押し潰されて、変わらず丸々と膨らみ張り詰め切った陰嚢を顔面に密着させられていながらも。
「ぐるぅぅっ、ほら、君も中々絞り出せる、なぁっ……ぐふっ……」
「っっはぅ、っぐ、ぅぅぅ」
お互いの股間に顔を触れ合わせる格好と言えば収まりも良いだろうが、獅子人と人間との体格上荒く獅子人側が背筋を折り曲げ、食らいつく様に股間に顔を埋めているのだ。
陰嚢の重たさは顔一面に熱気と蒸れた匂いの合わさった獣臭さをぶち撒けながら漂う匂いを更に鮮烈に伝えていき、同時にざらついた舌が人間の竿を舐め上げながら包皮の隙間にまで差し込み、玉から尻孔まで遠慮なく貪る。
牙を立てない様にと最低限度の気遣いを行ってはいるが、その分舌を意図的に露出させてぐちゅぐちゅと下品な程の水音を執拗に奏でて奉仕、或いは一方的な愛撫を繰り返す。
竿は変わらず屹立したまま、陰嚢に触れる顔への刺激だけでまた不規則に精液を飛び散らせて、既に全身白濁に塗れていた人間の身体へ更に精液を浴びせていく。
獅子人の舌使いにしても自分自身のざらついた舌先がどれだけ鋭い刺激を齎すかさえ熟知してしまっている様に、繊細な動きで裏筋を擽り、大振りな口が玉をしゃぶりながら尻孔の周りを舐め上げる。
真っ当な返答すら殆ど出来ず、精臭に塗れたまま更に熱気を押し付けられ、震えるままに人間自身が既に薄まっている精液を皿に飛び散らせていった。
「んぉぅぅふ、ふぅぅぅっ」
尻孔に差し迫った舌先はより繊細な動きを伴って人間を決して傷付けまいと、痛みを知った時には二度と戻れなくなって欲しいとの呪いを込めてより柔らかに蠢く。
舌先を丸めて表面に備わっている返しを極力触れ合わせない様に尖らせながら中に蠢き、暫く腰を回して匂いで誑かしながら動きを阻害し、そこまでやってから尻孔の中で舌を元通りに戻すのだ。
前立腺まで長く伸ばした舌先をごく軽く掠める様にして、反応が良くなっていると確信したならば更にじっとりと蠢かせる。連続した刺激と全ての個所を舐め回された身体はそれだけで、精液を噴き出す程に仕上がった様を見せ付ける。
「……ふっっ……さあ、これからがもっと、もっと、だ……ああ、まだ三十発も達していないのに、そんなにへばって大丈夫かあ……？」
「ごっ……ふぁ、あぁ……ぁ……」
変わらず股座と胸元に糸を引きながら途切れていき、身体を更に反転させながら獅子人が人間の身体に向き合った時には、恍惚の表情に二人分の精液が混ざり合った白濁に胸元から腹を中心に汚れきり、
内側から抉じ開けられる様に解された尻孔は三回程絶頂を迎える間延々と舐り上げられ続けてしまって、内側までひくひくと蠢く姿が良く見える。指を浅く挿入しても緩んで仕上がっており、前立腺を軽く持ち上げると竿は強制的だろうが勃起している。
萎えかかった竿でも精液と先走りが溢れていて、心底獅子人好みなのは確かだった。既に萎えかかった竿を前にして、二十数発は達していた肉棒を見散り、と押し付ける。
亀頭は丸く膨れ上がって胎内を貫き押し上げる準備を整えていた。雁首は中を抉って他人の液体を残さず掻き出す様に張り出しきって、肉棘は刺激によって猫科の雌を排卵させる準備に満ち溢れている。
精液の製造を尚も続けている陰嚢は萎むどころか興奮に合わせて更に重たさと大きさを増していると見間違える程。
「何も言わないという事は、問題も無いという事だな……行く、ぞぉぉっ！」
予定通りに、既に避妊具も忘れ去られて、生の質感が一気に人間の身体を貫いた。
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