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短篇
獅子百-5
一度につき五分足らずで獅子人が達するとしても、残り九十九発となればざっくり見積もっても八時間を越える計算になる。
当然コンドームを一々取り付ける様に勤めていたら精液風船で部屋一面が埋まってしまうのではないか、と人間は危惧したがその心配も要らないらしい。

「……あ、の……この数、少なくありませんか?」
「それは仕方ないというものさ……我々猫科獣人の、それもキングサイズのゴムとなるとどうしてもコストが掛かってしまうものだからねえ」

部屋の中に用意されたコンドームは一箱につき十二個しか入っていない。当然箱の残りは十一個。
予備のパックとしてもう一箱は用意されているがそれでも合計で二十四個。全部をゴムの中に収めるにはどう考えたとしても無理であるだろうとは経験の浅い人間だろうとよく理解する。
肉棘による返しによって突き破ってしまわない様に分厚くかつ頑丈に造られる。寧ろ安物だと破ってしまって殆ど意味は無いから、と苦笑する獅子人に、驚いている間に顔に竿が押し付けられた。

「っふぐ、っちょ、っと、っ」
「しかしさっきにコツは掴んだ筈だろうっ……もう一度、いやもう五発程は君の手を使った方が良さげだからなっ……おっと、爪には気を付けてくれ……剥がれてしまうかもしれないからなっ」

豪快に笑う姿に釣られて笑う様な余裕すらない事に気付かずに、表情よりも先に頬に押し付けられた竿を間近で見届ける。べっとりと精液交じりの太い糸が顔と繋がっていて、尚も雄々しく脈動している姿。
あれだけの量を放ったのにまだ玉袋はきゅっと張り詰めたままで今でも精液を増産しているのが分かる様に脈打ち、先程の言葉と感触を忘れない内に今度は生の竿を掴む。
びぐん、びぐんっと激しく震える熱気と精液の粘着きに両手で掴んだ掌もべっとりと汚れてしまうが気にする素振りも無い。漂う獣臭に縋る様に、その両手で扱いて竿の反応を眺めている。
まだコンドームの数には余裕がある、少なくとも普通に扱えば総数の四分の一程は零さずに済む筈であったが。
その一切を忘れて、竿を扱いていた。

「ほおれっ、これで二発目ぇぇっ!」「っぶ……ぬ、ふぁっ……」

当然ながら竿は震え、肉棘にまで血流が通って勢いよく逆立つ姿まで見えている。それ程に近い姿で、掌が焼かれるかと思われる程の熱気を孕んでもいる。
言葉に合わせて脈動し、亀頭は更に丸く膨れ上がり、大口を開けるかの如く鈴口さえも開いたのを捉えた途端に。大きな掌で竿の反り返りをぐっと獅子人自ら下げて、
差し出されたのは、思った以上に赤らんでいるであろう人間の顔の真ん前だった。

盛大な咆哮と共に身を震わせるのは一発目とさほど変わらず、更に言えばその量や粘度といったものまでも一発目と変わりはない。勢いに至っては一発目より増している様に思えるだろうか。
そんな濁流が今度はコンドームの中でも壁にでもなく、人間の顔面に向かって叩き付けられる様に注がれていくのだからどうする事も出来ないだろう。視界が真っ白に染まってから顔に叩き付けられる奔流に目を閉じるしかない。
暫く顔に向かって直接飛んだ後は、ぼたぼたと飛沫すら上がりそうな重たさを伴って人間の胸元にまで浴びせられる。

「っはおぅ……ふう、思ったよりも吐き出してしまったが……自分でどうにか出来るかい?タオルは居るか、それとも……」
「……っは、あぁぅ…ぉ……ら、ちょっと、待って下さい……大丈夫、ですからぁ……」

何をどんな理由で大丈夫なのかと言ったのかは人間自身にも分からない。鼻孔をほぼ塞がれた精液の重たさから鮮烈な獣臭さが呼吸の度に肺に満ち溢れて止まらない。
両手を使って払う様に拭えば視界が開けて、ふるふると揺れる精液が両手を塞ぐ様に一固まりになって纏わり付く。
口元に付着していた欠片を、舌を伸ばして自然と飲み込めば、青臭く塩気に溢れた感覚に大きく身を打ち震わせていた。
そんな姿を見て、また獅子人は満足そうに尻尾を揺らした。

「よおしよし、このまま続けてもう何発か、だ……」

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あきゅろす。
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