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短篇
獅子百-1
「こんな風に受けてくれる人なんて、募集を初めてから七ヶ月経ったけど君が一人目だなあ」

やって来たと同時に剣呑な調子で語りかける獅子人の姿を見ながら、金に釣られて応募してしまった自分を少し後悔した。
後悔の次にはシャツとやたらぴっちりしたスパッツという身体の太さをこれでもかと強調している肉体に、荒々しくも艶のある鬣は光に反射するきらきらした体毛が混ざっている。
薄手の生地と言えども毛皮と体毛を通り越して血管がもこもこと浮かび上がっているのはどれだけの密度の筋肉を持ち合わせていたらどんな事になるだろうかと。
尻尾の先端の房まで丁寧に手入れが施されているのが見えて一部の隙も無い。普通に普段の私服で来てしまった自分が恥ずかしいと思える程に。

「改めて説明するね。これから君には俺とセックスして貰う。終わるまで出られないし、100発出すまで続くからよろしくね」
「……あ、の……あの、やっぱり、本当、なんですか?」

あれだけゴテゴテしていた募集要項を読み通し、無事に成功したならば結構な金額が現金非課税で貰えると聞いたので意気揚々と応募したのが人間である。
低いとも高いとも言えない没個性の人間で、当然ながら目の前のライオンを前にしては獲物と捕食者ぐらいの差がある。
手の大きさにしても片手で両手をすっぽり覆えそうな程で、その割には肉球は柔らかく張りのある感触と弾力を感じ取れている。牙を剥いて笑っているが怖い雰囲気は感じない。
そして両方共に男性であったけれど、獣人と人間との体格の差も合わさって雄と男と形容する方が正しいのかもしれない。
これから目の前の獅子人と、先程の説明の通りに身体を交えたりする事になるのだ。獅子人が百発、百回、絶頂するのに付き合う事になっているのだ

「本当だって事はこの先嫌って程分かるからさ……ほら、色々用意してあるみたいだからまず雰囲気作りからやってみようね、ほら」
「うわぁっ」

少なくとも人間側が普段過ごしているアパートの一室よりも広い部屋の中、獣人が用いても、二人以上が荒っぽく使っても耐えうるように設計された巨大なベッド。
ユニットバス付きのトイレに通じる扉は刷りガラスになって薄く内装が見えるものとなり、傍らには冷蔵庫がどんと据え付けられている。可能な限りベッドの上で一日を過ごせる様に。

相手からしてみたらほんの軽い調子であったが、腰に手が添えられたかと思えば肉球の熱と大きさ、指の太さを感じている内に身体を掬い上げられて獅子人の隣へとご案内。
壁に掛けられたモニターに対して、やたらメタリックな色合いをしているリモコンでの操作を行うと、卑猥な喘ぎ声がスピーカーから奏でられ始める。

『ふぁ、ふぁぁぁっ!?ケツ、壊れ、りゅうぅっっ!』『ガァッ、グフゥ……もっとチンポ喰らえっ!ぶっ壊れて牝になっちまえっ!』
「…………」
「大丈夫だよ、ゴムだって用意されてるんだから……」

既に惨憺たる光景が画面の中で見えている。四つん這いにされた人間の尻は抜け毛がぺたぺたと貼り付いた上で行為の激しさを物語る様に尻肉を腫れ上がらせている姿が見えていて。
思いっきり陰嚢が尻肉に叩き付けられる音と共に、狼人と思わしき相手が壮大な咆哮と共に精液を生で遠慮なく人間の尻孔の中へと注ぎ込んでいる様子から始まっている。
言葉では否定していながらも人間の股座にぶら下がっている陰嚢はきゅっと縮み上がり、精液とも尿とも知れない液体をベッドの上に散らしている、という中々にハードな光景だった。

「狼人みたいなイヌ科みたいにずーっと繋がりっぱなしって訳じゃないから安心してね……口とか手でも良いから、俺を100発出せばそれで終わりだからさ……」
「……は、い」

アダルトビデオの内容に集中するよりも、喉を鳴らしながら徐々に落ち着かなくなっていく獅子人の隣にいる方が興奮する気がした。

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