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短篇
情-5
耳にした事がある御伽噺の中でも嫌われ者として扱われていたらしいという話も聞いているが、それはそれとして重要なのは発情期であるという事だ。
蝙蝠人に関して言えばまた奇妙な姿をしているのが殆どであったけれど。それ以上に感じ取れてしまうのはどうしようもないくらいの熱気と、既に自分が抱かれているという事実。

「あひぃぃっ!ふぁ、んぅっぎ、ぎひぅぅっっ!?」
「あぐぁ……アァ……良い、良いな、良い……!」

鳥人に抱かれていた時と合わせて全裸のまままた別の屋上へと連れ込まれたので、もうこの先全裸で家に戻るしかなくなってしまった。または保護して貰う方がずっと可能性が高いだろう。
仄かに漂って来る甘い匂いは果物が焦げた風味にも似ていて、合わせて煙草を吸っている様にその身体より燻された匂いが漂って来ている。自分を覆って来る皮膜から。その分厚い身体と熱い毛並みから。
激しい腰使いにぐちゅ、じゅぐっとぬかるんだ音と雄の匂いが好き放題に撒き散らされている状態だ。肝心なのは腰が動いているのではなくて、密着したまま男根そのものが蠢いている、様に感じる。

腰がぴったりとくっ付いているのに、その玉袋はびくびくとうねりを上げて掻き混ぜていて、尻肉をたっぷりと掻き混ぜて来ているのだ。驚く感覚よりもぞくぞくとした質感と衝撃の方が強い。
首筋に牙が立てられるといった事もなく純粋に犯されているのだ。先程あれだけ搾り取られたので精液は出ないが、肉棒はびくびくと震えて薄まった先走りを飛ばし続けているのが感じ取れている。一方的に犯されているのだ。
身体を何処だかの屋上に固定されたままで、蝙蝠人の身体へと抱え上げられている格好。迂闊に暴れたら落下しているのに、肉棒だけで身体を支えられている激しさと肉棒の硬さ。

「このままずっと抱えながら過ごしてしまおうか……それとも、このまま血を吸って果てるのも良いかもしれないかなぁ……?」
「ぐふ、ひぃぅぅっっ……!?」
「……ふふ、冗談、冗談だよ……君みたいな良い身体と尻をしている人間、ずっと、ずうっと楽しむのが一番なんだものなぁっ……!」

音を立ててびゅるびゅる、と根元が完全に密着したまま精液が吐き出されていく。もうこれで何度目なのかも分からない。狼人程の量がきっと注がれていて、下腹部がまた張り出していく。
体温の高さと合わさって汗ばんだ身体は縋り付かなければ果てるわ凍えるわで大変な事になっている。と言っても地上から聞こえて来る声にも獣人の唸り声とくぐもった声が溢れて、発情期なのはどこもかしこも変わらない。

「それにしても、本当に人間の身体はすべすべして……たまらない……このままずっと組み付いていたい……首筋、も……」
「かはっ、ぎぃぃっ!?」

何処だかの話の通りに血を吸い取って殺すという訳でも無い。訳でも無いと分かっているのに、しきりにその首筋に頬を寄せ、歯を立てて来る。
甘噛みを残して鬱血の痕が何度も残され、肉棒はそんな間にも自分の尻孔の中を好きなだけ掻き混ぜている。精液の量と合わせて自分の重たさが増していて、更に結合が深くなっているのが分かった。

星が見える夜空には半月程が浮かび上がっているのが見える。満月でもないのに発情期に近しい事が行なわれている。不思議だ、と思っている間に、また射精が響いている。
あの勧告を聞いてから半日ぐらいしか経っていないのに既に衣服を失っているわ、肉棒は勃起したままもう精液も満足な量が出ない程に達されているわでこの先どうなるのかも分からない。
早くても二、三日、長ければ二週間は持つ程の長さ。そこまでずれ込むとなると本来の発情期との期間が重なって発情月すらもう有り得るのかもしれないが。

「はへぁ……あが……ぁ…っ……」

それでも構わないとぐらいの、至福と諦めも混ざり出していた。

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あきゅろす。
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