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短篇
欲会-3
このまま食い千切ったらどれだけ良かったのかなと思っていたけれども、立派過ぎる存在感から歯も立たないだろうなと見える。身じろぎするにしても隣に座ったままの狸人が微笑みながらぐっと動きを封じて来た。
顔に迫るのはパンに挟んだままの狼人の肉棒、チンポとかいう奴。勿論知っている、だって自分の股間にもちゃんとぶら下がっている代物なんだから。パンに挟まっている理由までは、良く分からなかったけど。

「ほら、ちゃんと食うって言ったんだろ、食えよ……歯を立てたりするのも悪くねえけどな、ちゃあんとしゃぶって舐め取ってくれた方が良いもんだが……」
「っなぁっ、何を言って、むっ……ほ、本当にこういうのって何も知らなくて…んぅぅっっ……!」
「大丈夫だって、ちゃんとレクチャーしてあげるから、ね?」

何が「ね?」何だろうかと思った事も押し退けられるがままに、狼人のパンに挟んだナニが顔の目の前へと差し出されていく。確実に自分のそれよりもきつくて強い匂い。
表面に血走った血管の隆起までもがびきびきと盛り上がっているのが目に入って、既に溢れた先走りがとろとろと濁った色をパンの内側に染み込ませているのが良く見える。よく見たくも無いのに。
身じろぎしてどうにかしようにも狸人が自然と腰に腕を回している。他の獣人達も何かとっても楽しそう。楽しそうじゃないのは自分だけか。それで多数決が通るかと思えるだろうか。少なくとも自分には駄目そうだ。
目の前で腰を揺らすんじゃないと言っても聞かないだろうと、このまま何で一つしか選択肢が無くなってるんだろう。目配せしながら口を開き、とかやってたらパンを外されて生を咥えさせられた。

「んぐぅぅっ」

思ったよりも熱を帯びて、考えていた物よりもずっと強烈なパンチの効いた味わいだった。自分も吐き出したりしている精子とは比べ物にならない濃さと獣臭さ。
体毛にふんわりと香水を浴びているのか、薄く花の様な匂いがする。目の前には毛皮越しにもバキバキに割れた腹筋が見えていて、小さく聞こえる音は背面で尻尾が揺れる音だった。

「そうそう、あんまりがっつくと喉とかが大変な事になるからね……そのまま舌を出して……」「む、ぐっふ、どうしてこんな事になってるんですか……うぅ……」
「自然と馴染むもんだから気にすんなよ……」「っな、馴染ませる気なんて、ありません、よっ……」

見上げてみるとこっちの顔を見下ろしている狼人と当然視線がかち合ってしまう訳で、なんだか非常によろしくない気分になっている。
とか思ってたら腰に回っていた腕が腹から胸元にまでわしゃわしゃとやられて来るのを感じてまた声が出て来る始末。嫌な気分じゃないというのが、多分良くないんだろうなと感じる。

「うおっ、いきなりお前もしゃぶってくんのかようっ」「ああ、お客様、このままだったらもっと激しいサービスを与える事になりますよ」
「ああ、皆も君の格好を見て結構気に入っちゃったみたいだね……」「や……やっぱり、あなた達こういう……!」「ほれ、俺だって引く気はねえからよ、お前の口じゃねえと……」

出会って間もない見ず知らずの人間に対してよくもそこまで話しと誘いとを持ち込めるものであるなと。内心で何とも言えない気分になっていきながら、じゃあどうするのかと考える。
少しも退いてくれないけれど、こっちの口の中にチンポを挿し込んだ状態になっても腰を少しも動かさないのが、相手側からの気遣いなんだと知ってしまった。
優しいのか優しくないのか、もしくは自分がちょっとおかしくなったのかも分からないけど多分毒されている。どうしようもない気分も止まらないけど、改めて口に含んでみたらやっぱり雄臭い代物だ。
言葉に合わせて見上げてみると、さっきまで自分自身のを挟んでいた筈の白パンを何も着けずに齧っているのが目に入った。嘘だろ適わない。多分正攻法で行ったら返り討ちにされる。

「……ああ、もう……ッ……!」
「おっ……そうだな、そこまでがっついてくれりゃ、俺としてもやりやすい……」

余裕があり気に見えながらも、勢いそのままにしゃぶりついた竿からはどろっと先走りが溢れて舌の上に乗る。体温よりも熱くて粘っこい。
舌を忙しなく動かしてどうにかしようとしていると、狸人から顎をがっと掴まれた。下顎の方。

「飲める?」「ぐっ、が……」「うん、良い子良い子」

頭を撫でられながら、喉仏が動く。飲んじゃった。他人の先走りを。

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