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短篇
さもさ-3
自然と出会いから話が合って、こんな仲になってしまったというのはある意味で幸運であったのかもしれない。もしくは短篇小説の三ページ目から濡れ場に入らなければ、といったご都合なのだろうかと。
そこで気掛かりになっているのは、やはり人間が解いたばかりの長髪である。猫人の下へと寝かせられてしまえば左右にばらけてしまうし、猫人の上を取ったならば視界を塞ぐ程の量が降りて来る。

「にゃふ、ふっ……んん、普段よりも良い匂いがする感じ……」

だからこそ猫人は好みであるらしい。人間側は視界が殆ど塞がれて、猫人の胸元の毛並みしか殆ど見えていない状態であるというのに。ただ髪を引っ張られているというのは分かる。
自分よりも毛皮に包まれているというのに随分と拘っている。ぐるぐるといった喉が鳴らされる上機嫌な音は人間でも髪越しに振動に合わせて伝わって来る。

「で、今日もやるのか」「だってこんなに良い髪なんだもん…こっちだってアレ、やって良いから」「そうか」

ふんふんと鼻息を荒くして興奮しているのが分かる。両手を空中を泳ぐ様に動かしている合間に、髪は容易く絡め取られてしまっていく。
猫人からの了解の言葉を聞いた途端に人間の瞳孔も同じ様に開いた。全裸の中で仄かに萎えていた竿に一気に血流が通い、猫人の太腿辺りに触れるのを確かに感じ取る。
触れずとも、或いは髪で覆われていようともはっきりと猫人の竿、屹立というものは熱気で感じ取れている。

大柄な見た目に相応しいくらいの大振りの玉袋を携えていて、真っ白い股間の毛並みと肉鞘から露出した濃い赤黒さを備えたグロテスクさの対比が何とも言えない生々しさを携えている。
形状としては人間のそれに近いが、雁首は太く、先端は尖っており、猫科特有の肉棘は深く長いものが竿全体に疎らに生えているのが見える。匂いはそれ以上に溢れており、片手によって引き寄せられた髪の先端が、竿に絡ませられる様子がはっきりと見えた。

「にゃふっ……あふぅ、すっご、いっ……!」
「ぬぅぅ……」

自分の髪を使って肉棒を扱かれているという何とも奇妙な感覚。噛み付かれるよりはずっと負担が小さいと思った矢先、がぶり、と歯を立てて髪の中程に噛み付かれるのが見える。
柔らかに引っ張られるままに、自然と身体は猫人の身体に寄り添う形で触れ合った。鼓動が早まっているし獣の匂いも仄かに漂って、ぐじゅぐじゅと音が鳴る程の先走りだけ髪が汚れて行くのが見える。
身体を重ねる度に何かしらの理由を付けられてはこんな事をやっている気がする。となれば許可と合わせて自分が猫人に対してアレをやっているのも同じ回数なのだろう。
先走りが手の動きと合わせて泡立ち、それが髪の毛にも付着する。顔の全体は見えないけれど、髪の束を口元に含んだままぽかんと開いた口からだらしのない顔立ちになっているのが分かる。ここまで緩むのか。
手の動きが早まる。髪がそれだけ引き寄せられ、ぐっと牙を剥いて喰らい付かれた。

「にゅぐ、っっっ!!」

声を絞り出しながら、黒髪とは真逆、という訳でも無さげな黄ばんだ精液が自分の髪にたっぷりと吐き出されるのが目に入る。つんと香る程の強い匂いと濃さを備えていて、何度か扱く動きは止まらずぐちゅぐちゅと音を立てて髪に塗り込まれた。
こんな事をやるから櫛の通りが悪くなるとは分かっている。散々に分かっているし、後の掃除で難儀するのも分かっている。全て分かっているからこそ、落ち着く間も無く今度は猫人がそっと人間の身体を引っ繰り返して上に乗り掛かって来る。
胸元に尻を緩く押し付けるくらいには前側で、それが何を意味するのかも依然と同じく分かっていた。

「っふぅ……じゃあ、やってい「勿論」早いね、うん……」「おぉおっ……!」

まだ肉竿から精液の香りは際立ち、猫人の顔も熱が籠ったまま。それでも人間の了解を得たのに合わせて、人間の肉棒に尻尾が絡み、そのまま緩やかに擦り上げ始めた。
早速浮かべる陶酔した表情は猫人にもばっちりと見下ろされている。結局似た者同士な性癖だからこそ、付き合う羽目になった、のかもしれなかった。

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