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短篇
半分-2
別に嫌っているという訳ではない。日頃の付き合いと合わせて精液を口で直接受け止めて飲み込むのも、縦割れから滲む汁から縦割れの内側に舌を突っ込んで貪る様に味わって興奮出来るくらいには仕上がっている。
汗の匂いも精液の匂いも、蜥蜴人相手ならば許されるくらいには甘ったるい関係を得ているものであった。お互いに一人暮らしであったけれど、一緒に過ごす日の方がずっと多い程度には。

「ってあんだけ言ってたんだし別に良いんじゃねえか?」
「それと!これとは!話が別!」

整理されている人間の部屋の中では、今でも湯気が色付きそうな程の精液の香りと壁の表面で盛り上がったまま固まっている蜥蜴人の精液の残滓がこびり付きっぱなしだった。
部屋の片隅に置かれているリードディフューザーやらの芳香剤の匂いも何処へやら、蜥蜴人の趣向と合わせて元々匂い自体が薄いものを置いていた事ですっかりでろでろの汗の匂いと精液の匂いばかりが空間を支配している状態。
シーツにこびり付いたものを濡れタオルを使って可能な限り掬い取る様にしなければ離れないものであり、寧ろ染み込むくらい粘り気が薄くないのは幸いと言った事だろうか。

窓を開け放って換気扇を全力で回し、静音仕様と称される空気清浄機は轟音を立てているがべったりとした匂いが尚も漂っているのが感じ取れる。
行為を終えて、身体を洗い流し清めている間に数十分程の時間が経過している。このままではまだまだ匂いが染み着く事になってしまうだろうと。

「だからちゃんと上の方はゴムとか嵌めとけって!そう言っただろう!」
「上だけくっ付けんのもしっくり来ねえから仕方ねえよ。それに前にお前も聞いてんだろ、爬虫類用のゴムって高くて分厚くて気持ち良くねえんだって」

返しと二股の形状をまとめてカバーする必要がある為、人間用のそれよりも強靭なものになっている。勿論着け心地は相変わらず最悪だ。
人間も見覚えがあるが、そのまま指サックに用いてもおかしくないくらいの頑健で分厚い造りとなっており。気持ち良くないから、と再三の懇願を経てから基本的には使わない事になっていたが。
蜥蜴人の使っている部屋の中で致すのは良い。何度掃除をしても散らかり始めるゴミ、ゴミ箱に山となったティッシュやらを中心に漂ってくる雄の匂い、何度洗っても染みの備わった布団の上。
そんな状態の部屋の中で身体を交わしていくと、頭の中まで全てが蜥蜴人の匂いと存在感によって包み込まれて埋まっていくかの様な気分になって、既に病みつきになっていると言うしかない。

「って前に言ってたんだし別に良いんじゃねえか?」
「っそ、それは、それで……とにかく、汚しちゃったものの掃除は必要だからっ!」

甘ったるさと妥協と潔癖の気性でありながらも、蜥蜴人にすっかりあんな事やそんな事を容認するくらいの仲になってしまった人間が悪いのか、
定期的な掃除を知ろと毎回言われていながらも全く行なう様子もなく、結局人間が訪れる度に掃除を任せっぱなしな蜥蜴人が悪いのか。タオルで拭い取った後には、流水で洗い流す作業が始まる。

「どっちもどっちって訳だな」
「君のガサツさは普段から言ってるだろうが!」

反応の面白さににんまりと何とも意地悪に笑っている蜥蜴人を横目に見ながら、溢れるのは何とも歯がゆい気分の様な何かしら。
結局は蜥蜴人が変わらないのと、人間がマメな割に仕上がっているずれと歪みから蜥蜴人だってやる気が起きてないし、人間も穢れを放っておけないからずっと続けているのである。

「と言っても俺も何かやる事があるとすりゃなあ……ゴムを嵌めるのも違和感がすげえし、違和感が凄いとスッキリ発散出来ないからその分前みたいに気絶するまで腰振らねえと出ねえし」
「…………」
「あっ!そうだよ、お前がケツに俺のを二本纏めて受けられる様になりゃ汚れないじゃん」「無理!」

一本だけでも身体が悲鳴を上げているのだから無理だろうという人間の提案と、でも汚れないから良いだろという蜥蜴人の圧力。
部屋中の掃除にシーツの取り換えといった諸々の掃除を終えて、汗を軽く流してからムラッと来た蜥蜴人を手と口で慰めてまた清め。

「……マジで、来ちゃった…」

それから数日後、通販によって舞い込んで来たのは、人間が自腹を切った特大サイズのディルドであった

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あきゅろす。
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