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短篇
半分-1
味わう度に、蜥蜴人、リザードマンとも呼称される彼の大本が変温動物である事を忘れ去ってしまう。それくらいに熱い癖に身体に触れ合っている仄かに汗が滲んだ表面にはつるつるの鱗が滑る感触がする。
動きに合わせて身体の後ろでは自分の太腿よりも太いくらいの尻尾が激しく踊って興奮の度合いを示し、絡め合っている手は掌を丸々覆ってしまえて、両手首を片手で固定出来るくらいには無骨で巨大だ。
鱗に覆われていない掌の部分にはぺたぺたとした肉の感触は人間であるこちらとそこまで変わりが無いもので、こうして触れ合っているとやはりこっちよりも高い熱気を孕んでいるのが嫌という程に感じ取れるものである。
または、嫌と思えなくくらいに感じさせられてしまっている。

「く、ふぅ、ぅぅっ……あっ、あぁ……も、ひ、ぁぁぁぁっ!」
「ぐははぁっ!このまま何度もイっちまったら、本当に乾き切っちまうかもしれねえなぁっ!」

ばちん、と玉袋の類が何もぶら下がっていない股間が尻肉に叩き付けられる乾いた音と合わさって、下腹部の凹凸が確かに盛り上がった様子が伝わっている。
結腸が真っ直ぐになろうが前立腺をどれだけ真っ平になるまで押し潰そうがお構いなしどころか、意図的に快感を刻み付けるかの様な律動は相も変わらず止まる様子を見せない。
一見何も存在しない様に見えている股間の縦割れから飛び出していて、今現在人間の身体の中、尻孔の奥深くまでを深々と抉っているのは棍棒もかくやと言える程に凶悪で疣だらけで野太い癖に奇妙に長い代物。
先細りの先端という形状でありながら実際は先端の大きさもかなりの代物であって、それが先走りを散らしながら着実に人間の中、そして外側までも侵食しつあるのだ。

腸内の肉を余さず引っ張り出そうとしている返しのえげつなさにしても、或いは奥底まで容易く届いて腹の形を変えている純粋な大きさにしても。
合わせて、縦に二本揃っている内の下側を挿入しているのだから、ほぼ同じ大きさをした陰茎が動きに合わせて人間側の玉袋を擦り上げ、脈動に合わせて人間の裏筋をどこまでも擦り上げて来ているのである。

「っや、それ、ぐりぐりしたら、ぁっ……な、出すのは、待って……待って、ぇっ!」
「っはぁーっ!んな甘い声ばっかり漏らしやがって……俺だっていつもみたいに我慢出来ると思ったら大間違いだぜっ!」

こうして身体を重ねているのも向こう側が辛抱堪らないから人間側が折れたのではないか、といった矛盾さえも指摘されない律動だった。
覆い被さっているので身体の密着も強まっているが、腹側の肉が熱を帯びる。汗も涎も流れ落ちてくるし、どれだけ恥ずかしい表情を浮かべようが両手首を頭の上に縫い留められた現状では隠す事も不可能。
ついでに言えばどんな声もどんな顔も今となってはどこまでも淫らでそそる様に見えているらしく、激しさは段違いだった。それだけ人間の肉棒も擦り上げられるし、火が付きそうな熱はそれ以上。
惚けた顔に浮かぶ汗と涙を舐め上げて、ついでに口の中まで入り込んで来る先端の割れた舌先さえも熱い。普段肉ばかり食べている筈なのに涎の匂いも甘く、そして本格的なスパートを掛けると共に。

「おらっ、ちゃんと孕んじまえっ……「ま、待っってって」ぐおおおおおっっ!!」

身体の部位の中で最も柔らかい喉元が震えるのが見える。ぎざぎざとした歯列の揃った口が大きく開きながら歓喜の咆哮を上げ、ずばん!と音を立てて腹の形がまた歪み。
身体も熱ければ竿も、体内から竿を通してまた人間の胎内までたんまりと注ぎ込まれていく精液の奔流と脈動までも全てを味わう事になる。がくがく、と両足が震えようが、人間の肉棒から溢れる汁が透明な色だけになろうが種付けとしか言いようがない程の熱烈な射精が、
合わせて身体の外から人間の股間に密着していた肉棒からも、ごびゅ、どちゅっといった冗談と思わしき程の粘り気を宿した音を混ぜながらの射精が、遠慮なしに体毛も鱗も無い肌に向かって浴びせられていき。
鼻先をオスの匂いで塞ぎ、目も開けられなくなる程の濃さで上半身から顔にかけてを覆い尽くし。

「……だから……掃除が大変なんだってばぁぁ!」

人間の毎日重ねていたささやかな怒りまでは、塞げはしなかった。

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あきゅろす。
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