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短篇
やてたご-3
数日前に食堂であった発言が今更何だったのかなどと、今更になって掘り返す様な相手などほとんど存在しない。居るとするならば余程の物好きであり、

「そう言えば、こっちの研究は妊娠していなくても母乳が出る様になる薬の開発なんだ……ホルモンバランスを極力崩さないやり方でやってみたいんだけど、妊娠中のデータを良かったら送ってくれるかな?」
「…………」「……との事だが、大丈夫か?」
「っぬふぁっ……あ、ああ……あー……うん、ネズミのだったら、送っておく……ょ……」
「あ、ありがとう……何ヶ月振りかも分からない、けど、話してくれて……」

言葉の通りに夏頃に一回話した程度の仲であった眼鏡の犬人から礼を言われて、肩を軽く叩かれるだけでも露骨に身体を震わせてしまっている人間の姿。
あの程度の関係性を持った相手ならば、違和感に気付く事も無かったのだなとしみじみと獣人が浸っている間に、人間の震える指先が獣人の服の袖をぐっと掴んで来る。
全身が細かく震え上がっているし、両足はそれ以上にがくがくと小刻みに震えて歩く事さえおぼつかないのが見える。携帯の画面に映ったストップウォッチ機能を見つつ、そろそろ時間なのだと悟って。

「あと三十分ぐらいは出来なくはないって手筈じゃあるが」「っむ、無理、ぃ……これ以上は、こ、こっちの、筋肉と、余裕、がっ……」
「……流石にやり過ぎてしまったか?まあ良い……」

普通の歩幅で歩くだけでもその場にへたり込んでしまいそうな様子と、今にも泣き出してしまいそうな上気した表情。反応にしても顔立ちにしてもこんな顔を見れる事に珍しさと、何とも言えない興奮とが舞い込んで来る。
体格の関係で肩を貸して歩くというよりは担ぐ事になってしまいそうだったので、身体を腰にしがみつかせた状態でゆっくりと歩いてトイレの中へ。誰も使用していない事を確認してから、二人で一つの個室の中へまで入り込んでいった。

「はや、はやく、っうぁ……あが、っ……」「そんなに急いで出そうとしたら、切れちまうかもしれねえぞ」
「っ……だ、だって、え、あ、っぐぅぅぅぅ……っっ……!!」

本来の使用法とは逆に便器にしがみつく様にして座り込んだ人間のズボンを下着ごとずり下ろしてしまえば、思ったよりもちっぽけな背筋、そして丸みを帯びた尻肉。
合わせて尻孔の中に今まで詰まっていた物体の端が小刻みに震えながら、一気に獣人の目の前でひり出されていく。根元まで挿入されていたのが、音を立てて吐き出される。所謂アナルビーズと呼ばれる代物ながら、先端には小振りのディルドが捻じ込まれて、玉の個数は十を余裕で越えている。

「はっ……あぁぅ……ふぅぅ……ぅ……」「我慢が利かないのは仕方ないが、予定通りに開発だって進んでるんだ……後はお前の問題、だぜ?」
「……ネズミの延長線で手術出来たらこんな事にはならない、のにぃ……」「身体の前ならまだしもお前のケツだ、大人しく地道にゆっくりやらないとな……」

汗だらけになった背中から尻肉にかけて、手持ちのハンカチで拭ってやりながら道具を吐き出した尻孔の様子を見やる。丁重な洗浄のお陰か道具に汚れは付着していない。
完全には閉じ切っておらずひくひくと内側の肉色をほころばせたまま小刻みな開閉を繰り返しているものであり、前立腺の刺激も定期的に行って来た甲斐あってか圧迫感よりも快感の方が強い。
軽く指先の腹を揃えて尻孔に触れてみても以前の様な痛みと違和感の代わりに、ひゃあ、と啼いてから本能的な痛覚を感じてもいないらしい。

「今日が終われば休日だな……」「……こっちの身体に休みは」
「無いと思えよ」「…………」

既に人間サイズの肉棒を模したディルドならば、甘く絶頂に達する程度には人間の尻穴も解れているのであるが。
薬剤にしても挿入した状態での交わりにしては、未だに身体を壊す事になるのが実情であったのである。

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