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短篇
剥き出し-6
後になって調べてみれば分かる事だろう。発情を抑える為の芳香剤を獣人達はプライベートな場所であっても可能な限り装着する様に教わっている。
毛皮のみを、鱗のみを身に纏う事を選んでからそれが彼等彼女達等にとっての常識になってしまったものであり、人間と獣人が両方共に利用可能な銭湯やプールにも匂い消しが用いられている。
故に獣人達からしてみれば、何も身に着けていない事が殆どの人間の匂いが純粋に感じ取れる匂いだった。
やがて人間の匂いを素直に嗅ぎ取るだけで、それが興奮に結び付く様に曲解するのはそこまでの時間は掛からなかったとされている。

「や、やだぁっ……こ、んなの……ひ、ひぃっ……んあぁぅ……うぅっ……」
「絶対に君に痛い思いをさせないよ……」「っへへ、良い匂いだなぁっ……芳香剤越しじゃない匂いってのは、もう人間だけのもんで……興奮するな……」

柔らかにソファの上、テーブル越しに押し倒されながら、待ち構えているのはどろどろとした愛撫だった。しなやかな毛並みが全身に触れる。軽く擦り回されて、くすぐったい様な愛撫に反応している。
潤滑剤であるローション入りの小瓶が気が付けば用意されていて中身は犬人と猫人の手の中、店内を利用していた全裸の獣人達が遠巻きに眺められている。時には鼻を鳴らしている音が聞こえる様になる。刺激と興奮によって汗を流し、高まる匂いがまた獣人達を高めている。
無味無臭なのも徹底している。人間の身体から溢れる匂いを少しでも紛らわせない為の道具が全て揃っている。寄せられる鼻先と長い口吻から荒い鼻息が浴びせられて、人間の肌を擽った。

そんな柔らかな吐息さえも敏感に感じてしまい、自分自身の肉棒を立ち上がらせてしまう程の興奮が人間の身体の中を襲っている。玉袋は小刻みに縮み上がっており、先走りが溢れるとまた周りの獣人達が迫って来ているのが分かった。
漂っている匂いがより強さを増している。強い匂いによって更に獣人達の興奮が高まっている。直接的に触っている猫人達二人以外の獣人達も、自然とその股間から肉棒を反り立たせかかっている。

「あっひ、ひ……い、いぁぁ……あぁっ……!?」「そうそう、もっと力を抜いてから……こうして掻き混ぜてやって、そう、中々筋が良いよ……」
「あんだけひり出したんだから中もしっかり綺麗になってるんだもんなぁっ……へへ、本当に良い感じの名器になってるみたいだ……」

小さく音が立つ程に尻尾を振り乱している犬人と、じっとこちらを見据えている瞳孔まで大きく開いている様に見える猫人。それぞれの股間の肉鞘からも立派過ぎる程の肉棒が立ち上がっており、完全な興奮を露わにしている。
どちらも人間の物よりも巨大で、人間の物よりも歪な形状をしていて、人間の物よりも強い獣臭さが際立っている。これで芳香剤を取り付けている状態であるのか。
と、思っていたがテーブルの片隅に、先程見せられたものと形が違う物もあったが、全ての芳香剤が一緒くたに置かれた上に、グラスによって蓋をされているのが見える。完全に興奮している様子ばかり。

獣臭さが青年であっても分かる程に強い。尻孔に深々と押し入って来た指先の動きから自分がどれだけ求められているのかと、猫人達の手練れっぷりというのが否応なしに感じ取れている。
強引にぬるま湯を注入されての下準備から溢れていた忌避感が薄らいできている。仄かに冷たい鼻先が触れるだけでどうしようもない高揚が溢れて行って、自分の竿から滲み溢れた先走りを指に搦めて舐め取る姿は実に魅力的にさえ見えている。

「あおぉぉ……あ、あぁぁ……こんな、の……や、戻れなく、なっちゃう……」
「大丈夫だよ、戻すつもりなんてないから」「そうだぜ、どうせお前はこれから先、何をやったって戻れないからよ……」

どこまでも絶望的な言葉である癖に、どこかで嬉しくなってしまっている人間が居る。ずっと接してくれているし、猫人達二人以外も待ち構えている様な獣人達だって複数人備わってしまっているのだ。
ざらついている舌先が首筋を落ち着かせる様に舐め上げてきて、ここまでおおっぴらである癖に自分の身体を覆い隠したがっている様に抱き締めて来る。ふっくらとした匂いに忌避感はなく、漂って来る雄の匂いがこうも魅力的に感じ取れてしまうのかと。
結局自分は何処までも物好きで、稀に見られる程に人間の中では珍しいもので。

「このままゆっくりと力を抜いていてね……纏めて入るのは、ちゃんと二人とも入れてから、だからさぁ……」

大柄な犬人に真正面から抱き締められたまま、背後で猫人はそう囁くのだった。

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あきゅろす。
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