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短篇

時が経つにつれて四足獣の丸焼きは骨だけとなって、軽く酒を飲みながらの雑談が始まった。

「…やっぱ細いな、人間って奴は」
「……まあ、いや、そっちがムキムキ過ぎるだけです」
「ガッハッハッハ!そりゃ違ぇねぇな!」

大将は男を膝に座らせて、豪快に胸を震わせて笑った。
男はそれに適当に返し、薦められた果実酒を舐めるようにして飲む。

「んん?もっと飲まなきゃ、大きくなれねぇぞ?」
「これで平常サイズなんで、もう十分なんで」

鰐人達は全員、大きな杯を使って豪快に酒を煽っている。

「ホラホラ、良いから飲め……ん?ちょっと動くな」
「あれ一体何ですか、ちょっと近い近い近いっ」

大将ががっしと男の背中に太い腕を回して完全にホールドし、その威厳に満ちている顔を近付け、ぺろりと口元を舐めた。

「んっ!?」
「……へへ、肉の脂とか付いてたんでなっ…口も柔らかいな、お前って」
「……うー…」

突然の出来事に男は口を手で覆い、頬に朱が差して。

「おお?イイ反応だなぁ……ますます気に入ったぜ…」
「…っ!?」

今度は身体ごと強く引き込まれて、胡座をかく大将の太股に無理矢理座らされる。ちょうど大人が子供を乗せるように。

「…おぅ、あったけぇなぁ……あちこち柔らけぇしよ……」
「…くっ……セクハラ反対っ」

背中越しにひんやりとした身体と、腹辺りをまさぐってくる強靭な腕。
男の抵抗が虚しくなる程の力量の差が存在しているのかどうかは知らないが、男は大将から逃れられない。

「……大将っ!ちょっとこっちにも寄越してくださいよっ!」
「…こらっ……人を…」
「それもそうだな…ほらよっ」

大将から男が手渡しされて、渡された鰐人は早速胸に手を回してみる。

「……確かに、温いな!それに何だ、この硬くない腹はっ…」
「あ、次は俺が」「俺だってむにむにしてぇぞ」「早く触らせてくれ」

「……人をぬいぐるみみたいに扱うなぁっ!?」

男の叫びは都合良く鰐人たちには聞こえず、結局もみくちゃにされた。

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あきゅろす。
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